【趣味のためのクルマ選び】長距離ドライブで真価を実感!ボルボV60 D4

テストしたのは、V60 D4 Rデザイン。詳細は後述するとして、まずはラゲッジスペースをチェックしましょう。

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容量430リッターと、まずまずの広さを持つV60の荷室。メジャー片手に実測したところ、フロアの最大幅は126cmで、奥行きは94cm。ところが少々気になったのが、パーセルシェルフ(荷室カバー)までの高さが40cm弱と、天地方向がちょっと狭いこと。カバーを外しても天井は低め。スポーティにルーフラインが下降していくスタイルゆえ、ココは致し方ないところかもしれません。

実際の使用を想定して積み込んだのはフォルクスワーゲン「ゴルフ オールトラック」の時と同じ、国内線の機内へ持ち込み可能な大きさのカメラバッグ、3段の脚立、ライトスタンドバッグ(長さ120cm)、三脚、レフ板セット、ふたつの大型ストロボ、そしてメイクさんのバッグを模したトラベルケースです。

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懸念された積み残しは生じず、というかむしろ「ピッタリ!」といった感じで搭載できました。うーん、ヨカッタ!! ボルボV60は“スタイル”と“実用性”を、なかなかいいバランスで備えているようです。

非常時には、分割可倒式リアシートの背もたれを倒せば、奥行き170cmに達するフラットなラゲッジスペースが出現。反対に、載せるものが少ない時のために、荷室フロアには“転がり防止ボード”が備わります。

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また、ラゲッジスペースとキャビンを分けるラゲッジネットを、標準で装備するのも高ポイント。万が一の際、リアから重量物が飛び込んでくるリスクを低減できます。さすがワゴンづくりに手慣れたメーカーのスタイリッシュモデルですね。

さて、V60シリーズについて少し復習しましょう。日本でのラインナップは、1.6リッター直4ターボ(180馬力/24.5kg-m)搭載の「V60 Luxury Edition」、2リッター直4ターボ(190馬力/30.6kg-m)を積む「V60 T4 SE」、同じエンジンを245馬力と36.7kg-mまでチューンした「V60 T5 SE」、そして、3リッター直6ターボ(304馬力、44.9kg-m)を用いた4輪駆動版「V60 T6 AWD」が用意されます。

さらに昨年の夏、2リッターディーゼルターボ(190馬力/40.8kg-m)を搭載した「V60 D4 SE」が加わりました。60シリーズ、ずいぶん大家族ですね。価格帯も、449万円〜665万円と幅広いもの。ボルボの力の入れようが分かります。

ディーゼルエンジンの日本導入時には、V60のほか、「V40」「V40 クロスカントリー」「S60」「XC60」と、一挙5車種のディーゼルエンジン搭載車を発表し、大きな話題になりました。

2リッター直4ディーゼルは、超高圧で燃料を噴射するコモンレール式インジェクションを備え、ボルボ自慢の“i-ART”が燃料噴射を精緻にコントロールします。ターボチャージャーは大小2種類のタービンを持つ2ステージタイプ。排ガスの圧力が低めの低回転域から、レスポンスよくドライバーのスロットル操作に応えます。

燃費と排ガスに優れたいわゆるクリーンディーゼルで、カタログ燃費は20.2km/L。その実力は、先日『&GP』チームが鹿児島から東京まで無給油で走破し、証明しています。

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今回の試乗車V60 D4 Rデザインは、ディーゼルエンジン搭載車であることを表す“D4”に加え、もうひとつ“Rデザイン”であることが見逃せないポイント。これは、V60それぞれのグレードに設定されるスポーティバージョンです。

フロントグリルやバンパーが専用デザインとなり、リアバンパーはディフューザー付きに。さらにテールパイプが2本出しになります。ホイールは18インチにアップされ、235/40と薄いスポーツタイヤが巻かれます。併せて、サスペンションはよりハードなスポーツタイプに変更されています。

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内装は、Rデザイン専用の革シートに。シートヒーターが備わるのが、この季節には地味にうれしいですね!? 価格は、D4 SEが479万円。D4 Rデザインは70万円プラスの549万円になります。

さらに! 今回の試乗車には“ポールスター・パフォーマンス・パッケージ”が搭載されていました。これは、最高出力を10馬力アップの200馬力/4000回転に、最大トルクを4.1kg-m太い44.9kgm/1750〜2250回転に高める、メーカー公認のコンピューターチューンです。

面白いのが、“安全”と“環境”を売り物にするボルボらしく、チューンナップを施しても燃費(CO2排出量)が変わらないこと。普通の走行では通常モードで走り、いざとなればエクストラのアウトプットを提供してくれる“大人のチューニング”というわけです。

Rデザインで足を硬めるのが“Stage 1”とするならば、ポールスター注入は“Stage 2”といえるのではないでしょうか。ちなみに“ポールスター・パフォーマンス・パッケージ”は、モデルによっては既存の愛車をディーラーへ持ち込んでも施術してくれます。最近ボルボ車を購入し、「ちょっと手を入れたいな…」と思っている方は、一度、ディーラーに問い合わせてみてはいかがでしょうか。

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V60 D4 Rデザイン、エンジンをかければ、明確にディーゼルユニットの音が聞こえてきます。ドライバーの世代によっては、好き嫌いが分かれるかもしれませんね。とはいえ、最新のクリーンディーゼルらしく、低回転時から鋭くトルクをピックアップしてV60を機敏に走らせ、硬めた足まわりでハードコーナリングもOK!

例えるなら、見かけによらず野太い声でしゃべり、格闘技も得意な細マッチョ。そんな感じ。いやあ、ホントにボルボは変わりました! でも機材車には、ちょっとハードに過ぎるかも。ドライブするのは楽しいんですけどね…。

<SPECIFICATIONS>
☆V60 D4 Rデザイン
(ポールスター・パフォーマンス・パッケージ搭載車)
ボディサイズ:L4635×W1865×H1480mm
車重:1680kg
駆動方式:FF
エンジン:1968cc 直列4気筒 DOHC ディーゼル ターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力:200馬力/4250回転
最大トルク:44.9kg-m/1750〜2500回転
価格:567万8000円

(文&写真/ダン・アオキ)

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