キャンプで“ほったらかしコーヒー”を楽しめる「ステンレスコーヒーメーカー」

■豆の入れすぎに注意

ポットに水を入れ、粉を詰めたインサートをセットし、火にかけるだけ。使い方は単純です。エスビットの固形燃料がじわじわと沸騰させていい感じの味になるんです。

まずはポットに水を入れます。ポットのパイプ反対側には安全バルブが付いていて、このバルブの上まで水をいれると約240ml。

インサート一杯分の中挽き豆に水240mlだとかなりあっさりした味になるので8割程度(180mlくらい)、極細挽きの豆でエスプレッソなら半量の120〜150mlが目安といったところ。このあたりは好みなので、何度か挑戦するといいでしょう。

フチギリギリまで入れると、ふくらんだ粉が邪魔をするのか、パイプが詰まって湯が出ませんでした。濃いコーヒーをたっぷり飲みたいからと欲張ってはいけません。豆はポットの内側の壁がギリギリ見えるくらいにおさめるといいようです。

ほかのマキネッタ同様、粉を平らに整えたらゴムパッキン、メッシュのコーヒーフィルターを載せてフタをねじ入れます。ゴムパッキンとフィルターがズレたり裏表が間違っているときっちり閉まらないので、閉じた後、水漏れすることがないか確認しましょう。

そして、エスビット固形燃料スダンダード(4g)を2コ、タブレットコンパートメントに載せてスタンドの中央にセット。ちなみにタブレットコンパートメントにはフタが付いています。コーヒーの抽出が終わっても火がついているときはフタを載せて消火させます。

ポットをスタンドに載せ、パイプの先にカップを置いたらエスビット固形燃料に火をつけます。準備はこれだけ。他に何かをする必要もなく、ひたすら待つのみ。

スタンドは正面の開口部両側にも細長い窓が開いているので、風が吹きつけると炎が暴れます。とくに寒い時期は、スムーズにポットを温めるためにも、風防を使う方がいいでしょう。

なお、適切な火加減を保障できないため、手持ちのバーナーでの加熱は禁止されています。

 

■何度かトライして好みの風味に調整

「ステンレスコーヒーメーカー」には温度計もメモリも付いていません。コーヒー道を追い求める人には心許ない器具ですが、風や温度が一定ではないアウトドアで使うものですから、この適当さ加減が愛おしいんです。

いい香りが漂ってきて、パイプの先からぽたぽた落ちはじめたと思ったら勢いよくパイプからコーヒーが流れ落ちてきました。中身が見えないので、いつまで? 空だきするのでは? と不安になりますがご安心を。

気温3℃で少し風がありましたが、4g×2コの固形燃料が9割燃えたころに抽出が終わりました。

ポットがアツアツなので注意してフタを開けると、中に少しだけ湯が残っていました。少々もったいない気がしますが、指定の燃料を使って容量を守っていれば、コーヒーが流れ落ちた後、短時間であれば燃料が燃えたままになっても空だきの心配はなさそうです。

使用後は、ポットが冷えたことを確認して粉を処理します。ゴムパッキンやメッシュフィルターをバラバラにできるので、細部まで洗い流せて衛生的。

*  *  *

エスビット固形燃料は気温が低くても着火するけれど、バーナーほど素早く高火力に達するわけではありません。でも、それが「ステンレスコーヒーメーカー」のポイント。

風の影響を受けない場所で火をつけたら、そのまま放置するだけでちょうどいい火加減・抽出時間になるんです。液体燃料とは違って少々ラフに扱っても漏れる心配はなく、安心して持ち歩けますね。

本格マシンほど圧力がかかるわけではないのですが、できあがったコーヒーはエスプレッソっぽいパウダー感があります。ほったらかしなのにパーコレーターみたいにタイミングを逸して油っぽくなることはありません。

火をつけて12〜15分でコーヒーにありつけるので、その間にテントをたてたり焚き火の準備をしたり。一息ついたらおいしいコーヒーが待っている。肩肘張らず、楽しておいしいコーヒーを飲みたい人にちょうどいい器具です。

>> エスビット(飯塚カンパニー)

 

>> [連載]アウトドア銘品図鑑

<取材・文/大森弘恵

大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter

 

 

 

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