フルモデルチェンジでも変わらないダイハツ「ムーヴ キャンバス」の素晴らしさとは

■従来モデルと変わらぬ見た目に大きく進化した機能

スライドドアのメリットは、駐車場で隣にクルマがあるシーンなど、車体の横に大きなスペースがなくてもドアを最大まで開けられること。

小さな子供がいる家庭では、子供の乗り降り時に隣のクルマにドアをぶつける心配から解放されるし、開けたドアが邪魔にならないからチャイルドシートに子供を乗せやすいのもアドバンテージです。子育てファミリーにとっては、もはや必須のアイテムといっていいかもしれません。

2022年7月に登場した新型はフルモデルチェンジで、プラットフォームやエンジンを刷新しています。しかし、見た目は従来モデルとまったく変わっていません。外観をパッと見て、新型か旧型か判断できる人はほぼいないでしょう。

本来なら、見るからに新型と分かるようにし、従来型からの買い替えを促すのがセオリーのはず。しかし、ムーヴ キャンバスはそうしなかったのです。その理由は「デザインこそがキャンバスらしさであり、人気の理由だったから」というもの。

▲フロントシートは左右席の間に溝がないベンチタイプ。立体的な形状で適度なホールド感があり、座り心地も良好

▲リヤシートを車体最後方に配置することで前後席間距離をたっぷり確保。後席足元はゆったりだ

▲リヤシートは左右50:50分割式で、片側だけの格納もできる。ただし、低く沈み込む構造ではない

▲左右独立のシートスライドが組み込まれ、格納と異なり人が座れる状態をキープしつつ荷室の奥行を拡大可能

▲リヤシート座面の下に引き出し式のトレーを装備。「荷物を床に置きたくない」というニーズにも対応する

世の中を見ると、「MINI」や「ポルシェ911」そして「ホンダN-ONE」など、フルモデルチェンジしても新旧の見分けがつきにくいクルマが存在します。それらに共通するのは独自のスタイルこそが個性であり、同時に人気の理由だということ。ムーヴ キャンバスも、初代のデザインが個性かつ人気の理由だっただけに、「デザインを変えてしまったらキャンバスではなくなってしまう」ということなのです。

▲フラットなダッシュボード上面も開放感に貢献。ピラーが細いので斜め前方視界も優れる

▲インパネのトレーにはオプションで「置くだけ充電」も組み込める。スマホとの連携強化も新型の特徴だ

▲軽自動車初搭載となる、ドリンクのヒーターも採用。スイッチを入れるとPTCヒーターが作動しドリンクの温度をキープ

一方でハードウェアとしては新型になり大きく進化しました。新しいプラットフォームは素性がよく、試乗すると乗り心地がいいことを実感。また、従来モデルにはなかったターボエンジンが設定され、動力性能の不満を解消するとともに、加速時のエンジン回転を下げられることからエンジン音が静かになり、静粛性向上として快適性にもメリットをもたらします。

もうひとつ、新型になって追加されたのは「セオリー」という新仕様。従来のムーヴ キャンバスは、なごみ系のデザインにポップなカラーもあって若くはない男性が乗るには気恥ずかしい雰囲気を醸していたのは否めませんでした。

しかし新型に用意された新仕様の「セオリー」はボディカラーにモノトーンとして深みのあるブルーやサンドベージュなどを設定。落ち着いた雰囲気で、これはこれで“アリ”だなと思えるコーディネートです。年配の男性も、これなら抵抗なく乗れるでしょう。

ちなみに、従来からの雰囲気を受け継いだポップな仕様は「ストライプス」と呼ばれます。

独自の存在感が魅力のムーヴ キャンバスは、スライドドアを組みあわせた実用性も特徴です。しかしなにより、デザインで指名したいモデル。デザインに惚れたら買いでしょう。

<SPECIFICATIONS>
☆ダイハツ「ムーヴ キャンバス ストライプスG(FF)」
ボディサイズ:L3395×W1475×H1655mm
車重:880kg
駆動方式:FWD
エンジン:659cc 直列3気筒 DOHC
エンジン最高出力:52馬力/6900回転
エンジン最大トルク:60Nm/3600回転

価格:167万2000円

<文/工藤貴宏>

工藤貴宏|自動車専門誌の編集部員として活動後、フリーランスの自動車ライターとして独立。使い勝手やバイヤーズガイドを軸とする新車の紹介・解説を得意とし、『&GP』を始め、幅広いWebメディアや雑誌に寄稿している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

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