ダートフリークが手がけた超軽量ペグ「ヘキサステーク」は工具好きが思わず手に取る仕掛け満載

■工具箱が似合う軽量ペグ

六角レンチとドライバーをイメージした工具みたいなペグ。それが「ヘキサステーク」です。

▲190×40×13.5mm。ソロ用ドームテントや小型タープなど軽い幕にちょうどいい長さ

一般的なペグは、張り綱を保持するための刻みや出っ張りはさほど大きくありません。

長らく最強ペグと称されているソリステはフックが長めで、フックも地面に刺さりますが、「ヘキサステーク」はその比じゃない。フック部分が本体の半分ほどまで伸びているんです。

▲なんだかドライバーっぽい

フック部分が2本目のペグ同様、地面に潜り込みがっちり固定するというわけ。ソリステも同様ですが、「ヘキサステーク」のほうはペグ本体もフックも先端が円錐状になっていて地面に刺さりやすいんですね。

それに20cmのソリステは地面に15cmほど差し込まないとフックが地面に届きませんが、「ヘキサステーク」は地面に10cm刺すとフックが地面に届きます。ほぼ同じ長さのペグですが、風のない晴天時なら、わずかながらも設営時間を短縮できるというわけ。

もちろん、フックごとがっちり地面に差し込めば固定力を最大限に発揮します。

▲1本30g。12本そろえても360g

プラペグに見えますが、硬い地面にも対応する強度と超軽量を併せ持つCFRTP材を採用しています。

テントカタログでは“FRP”という言葉を目にしますが、これは繊維強化プラスチックのこと。テントのフレームに使われているのはガラス繊維と樹脂を組み合わせたGFRPです。

そしてガラス繊維ではなくカーボン繊維を組み合わせたモノが“CFRP”で、鉄よりも軽くて強いとクルマや航空機にも採用されていますが、熱硬化樹脂(熱を加えると固まり、元に戻らなくなる)を使ったものはリサイクルしづらく製造コストも跳ね上がるのが難点。

「ヘキサステーク」で用いられている“CFRTP”は、カーボン繊維を包む樹脂を熱可塑性(加熱するとやわらかくなって、冷やすと固まる樹脂)にすることでリサイクルも量産もしやすくなった複合材料です。

軽くて耐衝撃性がある上、錆びにくくてリサイクルも可能。キャンプギアへの採用は大歓迎です。

普通のプラペグとは違って耐衝撃性があり、重いハンマーで叩いても割れないほどの強さがありました。

先端が円錐形で地面に刺さりやすく、本体断面は十字デザインになっているので風の力でくるっと回ることはなし。サブステークデザインをいかせば、いっそう強力に固定されます。

出っ張り部分があるので最大の厚みは13.5mmですが、基本の厚みは9.5mm。ハンマーが当たる部分は平らに成型されています。

張り綱を通すフックとペグ本体の隙間は10mm、その横にある六角形の穴も10mm。

上部の六角穴は8mmです。

▲レンチを動かせない場合あり。やはり頼りになるのは車載工具か

金属ではないためあくまでエマージェンシー用なのですが、10mm(最大トルク15N・m)と8mm(最大トルク10N・m)の六角レンチとして使えるんですね。

そもそも六角穴のまわりは幅があるのでハマらない・回せない場合もありますが、オフロードバイクでの使用頻度が高い8mmと10mmの六角レンチ機能を搭載しているのがニクイ。

■スタッキングに偽りなし

ヘッド部分の形状を観察すると、ふたつの六角穴の周囲がちょっぴり出っ張っていて、裏側はへこんでいます。この穴と出っ張りがピタッとフィット!

しかも8mmのほうは裏も表も円形、10mmのほうは六角形の出っ張り+へこみで横にずれることがありません。

シンプルなデザインでスタッキングできるとうたうペグがありますが、これほどまでに重ねてブレないものは見たことがありません。持ち運びが楽だし、いつの間にか1本なくなっていた…なんてことも防げそう。

なんだか工具っぽくてペグらしい機能は薄めですが、安心してください。10mmの六角穴には別の「ヘキサステーク」を通せるので、地面に刺さった「ヘキサステーク」を軽く揺すって楽にペグを引き抜けます。

工具っぽいデザインですが六角レンチ機能はあくまで緊急用。
それに軽くてタフではありますが、地面に潜んでいる硬い石に当たったまま打ち込むなど状況によっては破損する場合があります。

重量級テントには対応できず最強とはうたえませんが、国内製造だけあり高精度でピタッときまるスタッキング機能は見事だし、通常のキャンプサイトなら快適に使えます。

抜群の固定力を持つ軽量ペグに工具っぽさを備えた「ヘキサステーク」、キャンプを趣味とするオフロードライダーは手に取らずにいられない魅力を備えています。

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<取材・文/大森弘恵

大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter

 

 

 

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