二代目「レクサスLM」は、世界に類を見ない完全運転手仕様を持つ“ラグジュアリームーバー”

■絶対的な静けさでなく、「静かと感じられる静粛感」を重視した乗り心地

試乗したプロトタイプは、2.4リッターエンジンを使ったハイブリッドユニット(駆動用の電気モーターとギアが一体化されたeAxle)を搭載していました。新型クラウン・クロスオーバーでも使われているドライブトレインで、このエンジンはパワーもあるし回転マナーもいいし、好感が持てます。

ロードノイズと風切り音を抑えるため、エンジンの振動、タイヤ、ガラスなど、音の発生源に徹底的に対策して、静けさを追求したと謳われています。

私が運転席に座ってドライブしたところ、アクセルペダルを踏み込んでいくと、エンジン音が聞こえてきました。

「それでいいのです」と言うのは、開発を総指揮した、横尾貴己チーフエンジニアです。「心地よく感じる自然な静けさ」がテーマだったそうです。

「乗員へのインフォメーションとして、むしろ必要と考えました」と、横尾チーフエンジニア(CE)。LMで重視したのは、絶対的な静けさでなく、静かと感じられる静粛感と説明してくれました。

“でも、アルファード/ヴェルファイアと同じクルマでしょ”としょっちゅう訊かれるようで、開発に携わったエンジニアたちは、ボディの作りからして違います、と説明してくれます。

アルファード/ヴェルファイアは「エグゼクティブラウンジ」を標榜していますが、シートはフルフラットになりません。そのぶん、しっかりした走りを追求しています。

レクサスLMにおいては、もちろんしっかりした走りは前提。「従来型比で約1.5倍のボディねじり剛性を確保」と資料にもあります。加えて、後席乗員のより高い快適性を求めて、ボディの減衰(振動など)をより強く進めたそうです。

AVS (アダプティブ・バリアブル・サスペンションシステム)には「周波数感応バルブ」を備え、振動を軽減。後席の快適性を重視した「リアコンフォート」モードを選択すると、AVSの減衰力特性は後席の乗り心地を優先するそうです。

 

■世界に類のないラグジュアリー車

私が乗ったプロトタイプは、運転手仕様の4人乗りですが、レクサスLM(プロトタイプ)には、自分で運転する人向けの6人乗り、7人乗り仕様もあります。

「とにかく長い距離を走ってもらうと、疲労感の少なさを感じてもらえるはずです」。開発陣の言葉が印象的でした。

トヨタ自動車が、23年9月に発表した「センチュリー」の追加車種「センチュリーSUV」(2500万円)は、フルフラットになる後席をそなえています。

アルファード/ヴェルファイアのことを書いてきましたが、基本プラットフォームは、レクサスLMとセンチュリーSUVも共用。競合はこっちでしょうか。

いずれにしても、ここでレクサスは、世界に類のないラグジュアリー車を作りあげたとみることが出来ます。ミニバンの世界では、メルセデスVクラスなんてありますが、一線を画したモデルの登場といえるかもしれません。

【Specifications】
全長×全幅×全高:5125×1890×1955mm
ホイールベース:3000mm
エンジン:2.4リッター直列4気筒ターボ+電気モーター(eAxle)および
2.5リッター4気筒ハイブリッド(FWDとE-Four)

>> トヨタ レクサスLM

 

<文/小川フミオ>

オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中

 

 

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