【試乗】SUVのスパイスで個性派へ変身。スバル クロスオーバー7の素顔とは?

しかし、やはりといいましょうか、本質は変わりません。良い意味で変わらないな、と乗ってみて思ったのです。

まず、215/50R17というタイヤサイズ。

実はこれ、エクシーガと同じサイズ。SUVらしさを誇張しようとすると、タイヤサイズを大きくし、それを覆い被せるためにオーバーフェンダーを装着…。そういった手法もあります。

でもクロスオーバー7は、トレッドこそ少し広げてはいますが、無理せずタイヤサイズをキープ。50扁平の、空気がたくさん入ったタイヤによって、乗り味はアタリが柔らかくてリラックスできます。無理に突っ張ったりはしません。オレンジをキーカラーとした、明るい配色の内装の影響もあって、心地良いドライブが楽しめるのです。

しかし、隠し通せない本質を、クロスオーバー7のパワートレーンとサスペンションから感じさせられます。

低重心の水平対向エンジンに加え、妥協なしの4WD機構“シンメトリカルAWD”の採用。スバル自慢の低重心でバランスの良い駆動系が、背の高いクルマで感じられがちな「無理してるなぁ」といった印象を寄せ付けないようにしてくれます。

ライトウエイトスポーツカーのような、ヒラヒラといったダイナミクスとは少し違いますが、ドライバーの操作に微妙に遅れるような鈍さを感じなくてすみます。スバル伝統のパワートレインは、背が高いというネガを巧みに解消してくれるので、SUVとの相性が実に良いと思うのです。

しかも、リアサスペンションはダブルウイッシュボーン式。FFベースで「たまにリアも駆動すればいいや、必要なら働くからね!」といった四輪駆動ではなく、リアタイヤも積極的にトラクションを稼いでいこう、という良心的な姿勢。こういうの好きです。

もちろん、3列目シートを収めるために、レイアウト的制約を受けた部分もあるかもしれませんが、ミニバンを作るとなると、いきなりFFになってしまうどこかのメーカーと比べれば、主張が一貫しているように思うのです。ちょっといい過ぎでしょうか。

ちなみに、ミニバンを名乗っていただけのことはあり、サードシートの居住性はSUVとしては秀逸だと思います。サードシートの実用性をチェックする時に肝心なのは、座ったとき、お尻の位置とカカトの位置に十分な高低差があるかどうか。これが少なくて体育座りのようになってしまう(=長時間座れない)SUVは珍しくないのです。

その点クロスオーバー7は、完璧とはいえないまでも、十分に健闘していると思いました。郊外のアウトレットモールへ往復するくらいなら、余裕で乗れる快適さがあります。

短時間の試乗ではありましたが、非常に印象に残るクルマでした。元々ミニバンでありながらSUVルックを与えられたクロスオーバー7は、結局のところ、その本質に変わりはありません。簡単に変われるもんじゃないのです。

しかし、その変わらない本質こそ、クロスオーバー7をチョイスする理由になると思います。低重心なエンジンを縦置きにし、効率良く、そしてバランスよく四輪へと駆動力を振り分けるパワートレーン。今の時代、こんなのなかなかないですもんね。オススメです。

<SPECIFICATIONS>
☆2.5i EyeSight
ボディサイズ:L4780×W1800×H1670mm
車重:1620kg
駆動方式:AWD
エンジン:2498cc 水平対向4気筒
トランスミッション:CVT
最高出力:173馬力/5600回転
最大トルク:24.0kg-m/4100回転
価格:275万4000円

(文&写真/ブンタ・撮影協力/航空科学博物館)

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