“本当に好きなことは仕事にしない方が良い”といった論調の延長線上によく聞くのが、メーカーなどモノづくりを行う側の人間として、“マニアは不要”という意見である。マニアは採算を度外視して自分が好きなモノを作りたがる、あるいは視野が狭いといったネガティブな見地からによるものである。
今や、自動車も白物家電化が進み、車内が広くて燃費が良ければ見てくれなんてどうだっていいい、という意見が大多数を占めるようになりつつあるのも事実。自動車に趣味性やステイタス、速さ、あるいは運転する楽しみを求める層は減りに減り、かつての花形であったスポーツカーたちも、すでに看板を下ろして久しいという車種が多数存在する。
そう聞くと、前述したように自動車メーカーの“中の人”がクルマ好きやカーマニアである必要性も薄らいでいくようにも思え、実際にそうした傾向は強まりつつあると聞く。
しかし、古くからのクルマ好きであれば、せめて趣味性の強いスポーツカーだけでも、クルマ好きやカーマニアが開発に携わっていて欲しいと願うのは至極当たり前のこと。数ある日本の自動車メーカーの中でも、そんな願いをしかと受けとめているのが、ここのところ何かと話題に上る日産である。
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