福岡で手づくりのナチュラルチーズをつくる工房があると知り、どんな味なのだろうと気になって、気づけば販売店を探して何件も巡っていました。
その工房があるのは、福岡県のほぼ中央に位置する嘉麻市。豊かな自然に囲まれ、農業や畜産が盛んなこの町でチーズづくりを続けているのが、ナチュラルチーズ工房『Cacio(カチョ)』です。
県内外の飲食店でも採用されるほか、手土産やお取り寄せとして親しまれる『Cacio』のチーズ。工房を訪ねると、そのおいしさの背景には、丁寧なチーズづくりと、この土地で育まれた人とのつながりがありました。
■Cacioのチーズに惹かれた理由
▲豊かな自然が広がる嘉麻市
初めて食べた『Cacio』のチーズは、ミルクの風味がしっかりと感じられるのに、あと味は驚くほどやさしい。保存料や防腐剤を使わず、地元の牧場から届く生乳で、ミルク本来のおいしさを大切にしていることも、そのやさしい味わいにつながっているのかもしれません。
一度食べたらファンになり、新商品が並べば手に取り、限定の商品も楽しみになりました。自宅用はもちろん、手土産として選ぶことも。
何度も味わううちに、ふと「このチーズは、どうやって生まれているんだろう?」と気になるように。その答えを知りたくて、嘉麻市の工房を訪ねました。
■嘉麻市という土地を選んだ理由
▲工房で迎えてくれたのは、イタリア出身のチーズ職人・シモーネさんと妻の依吏子さん
福岡で工房を開く場所を探すなかで嘉麻市と出会ったお二人。豊かな自然と、この土地で暮らす人たちの温かさに惹かれ、嘉麻市を選んだそう。嘉麻市は、米や野菜、果物などの農業が盛んなだけでなく、酪農も営まれている自然豊かな町。四季の移ろいを感じながら、生産者の顔が見える距離で素材と向き合える環境は、チーズづくりを続けるうえで大きな魅力だったといいます。
▲チーズづくりは、生乳の状態を見極めながら、一つひとつの工程を丁寧に積み重ねていく
「人との距離が近いんです」と話すお二人の言葉どおり、この土地での暮らしを通して、地域の人たちとのつながりは少しずつ広がっていきました。
その出会いは、工房の場所を決めただけでは終わりません。一つひとつの縁が、新しい挑戦を後押しし、『Cacio』らしいチーズづくりへとつながっていったのです。
■出会いが、新しいチーズを生み出していく
▲毎朝新鮮な生乳を届けてくれる江藤牧場さん
嘉麻市で広がった人とのつながりは、新しい挑戦へとつながっていきました。工房で使われているのは、地元・江藤牧場へ自ら足を運んで仕入れる、新鮮な生乳。豊かな自然のなかで育まれた素材と向き合いながら、生乳本来のおいしさを生かすチーズづくりを、一つひとつ丁寧に続けています。
こうしたつながりは、地域のつくり手との新たなものづくりにも広がっています。例えば、地元の酒蔵とともに生まれた日本酒チーズは、それぞれが持つ素材や技術を生かして完成した一品。また、洋菓子店とともにチーズを使ったケーキづくりにも取り組むなど、チーズのおいしさをさまざまなかたちで届ける挑戦も続いています。
地域や距離ではなく、お互いのものづくりに共感し、それぞれの強みを生かせる相手と一緒につくること。その積み重ねが、『Cacio』らしい新しい味わいを生み出しているのです。
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