【クルマ初モノ図鑑⑫】現在では“当たり前”の電装装備を初搭載したのは?[その5]

■日産シーマ(2001年) -国産車初のウインカー内蔵ドアミラー

ドアミラーに内蔵されるウインカーには、視認性が高まるほかにも高級感が増すという効果がありますよね。ところで、なぜウインカーの位置で高級感が変わるのか。おそらくそれは世界で初めてこのウインカーを採用したのがW220型メルセデス・ベンツSクラスだったからではないでしょうか。そして国産車でウインカー内蔵ドアミラーを採用したのはF50型日産シーマ。やっぱり大型の高級セダンだったんですね。

シーマの採用以降、この装備は急速に普及していきます。そして現在ではコンパクトハッチバックや軽自動車にも採用されています。ただしこれがつくのは上級グレードのみという車種もあります。ここにはコスト削減のほか、もとが高級車の代名詞的な装備だったので上級グレードを買ったオーナーの優越感をくすぐる効果を狙っていたりするのかもしれませんね。

 

■ランドクルーザーシグナス(2002年) -ナイトビューシステムを世界初搭載

ランドクルーザーは80系でプレミアム性を高めたモデルとなりました。1998年にデビューした100系ではその流れがより顕著に表れ、“砂漠のセルシオ”と呼ばれることも。’99年には、100系のプレミアム性を一層際立たせたシグナスが投入されます。

そのシグナスには2002年のマイナーチェンジで世界初となるナイトビューシステムが搭載されます。これは遠赤外線を車両前方に照射して、専用カメラで撮影した映像をヘッドアップディスプレイに表示する機能。ハイビームでも確認しづらい歩行者や障害物が浮き上がってくるので、夜間でも安心して走れるようになったのです。’08年にはこのシステムに歩行者検知機能を追加。映し出された映像の中にシステムが歩行者を確認すると、黄色い枠で歩行者を囲んで注意喚起しました。

 

■トヨタハリアー(2003年) -フロントサイドモニターを世界初搭載

クルマに死角が多く存在するのはご存知の通り。一般的に全高が高くなりウインドウ下端のベルトラインが地面から高くなればなるほど死角が多くなります(ただボディ形状やシート設置位置などによっても大きく変わります)。とくにSUVやミニバンは死角が多いため、1990年代から自主的に補助ミラー(キノコミラー)を設置し、巻き込み事故を減らす努力をしてきました。

ただ、当時の補助ミラーは視認性が高いとはいえず、またデザイン性も良くなかったため、ユーザーからは不評でした。中には購入後に外してしまう人も…。補助ミラーは2003年に法規で設置基準が定められ、’05年1月1日以降の新型車からは設置が義務に。ただし法規(道路運送車両の保安基準)の直前直左確認鏡の技術基準では「画像表示装置」も認められています。この画像表示装置=フロントサイドモニターを初めてオプション設定したのが2代目ハリアーです(写真はサイドアンダーミラーが付いています)。

デザイン性を壊すことなく、そしてミラーより死角の確認がしやすいため、フロントサイドモニターは高級車から順に普及し、現在では多くのクルマで採用されています。ちなみに2台目ハリアーにはカーブ走行でヘッドライトの照射位置を進行方向に動かすアダプティブ・フロントライティング・システムも世界初採用されました。

 

■レクサスLSハイブリッド(2007年) -LEDヘッドライトを世界初搭載

夜間走行の視界確保に欠かせない存在で、デザインにも大きな影響を与えるライト類には、さまざまな技術が用いられています。プレミアムモデルの中には次世代のレーザーライトを採用する車種もあります。

LEDライトが初めてクルマに採用されたのは2007年。採用したのは初代LSハイブリッドでした。省電力で長寿命のLEDはヘッドライトの光源としては理想的な存在。そのためLSハイブリッドに採用された後は急速に広まり、現在では軽自動車でも採用する車種が多くなっています。

 

■日産エルグランド(2007年) -アラウンドビューモニターを世界初搭載

運転席からの死角を減らすバックモニターやフロントサイドモニターは、後付けの社外品を含めて急速に普及しました。そして2007年、日産はこれまでにない発想のモニターを発表しました。前後左右に付いた4つの広角カメラが捉えた映像をひとつの映像に合成。まるで真上から見ているような形でクルマの周囲を確認できるアラウンドビューモニターです。

アラウンドビューモニターの映像は単に4つの映像をひとつのモニターに表示するのではなく、広角レンズが捉えた湾曲した映像を映像処理ユニットに集め、それぞれが均一に見えるように変換処理した上でモニターに映しているのです。

その後、アラウンドビューモニターには駐車ガイド機能(’09年)、移動物検知機能(’11年)などが追加されていきます。また、日産以外のメーカーもこの機能を搭載。多くの人にとってなくてはならない機能となりました。

 


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(文/高橋 満<ブリッジマン>)

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