37年の歴史に幕を下ろす「パジェロ」栄光の軌跡を振り返る

■3代目(1999年):世の中の流れに乗りラグジュアリー路線へと変化

▲3代目パジェロロングエクシード

パジェロは1999年9月にフルモデルチェンジ、3代目へと進化します。この代からラグジュアリー路線になりました。彫刻のような雰囲気のデザインでプレステージ性を高め、インテリアも高級感のある素材を多用しています。

4WDはスーパーセレクト4WD IIへと進化。機械式から電動切替式になり、走行中の操作フィーリングなどが向上しています。エンジンは3.2L直噴ディーゼルエンジンと、V6 3.5L 直噴ガソリンエンジン(GDI)がラインナップされました。

3代目パジェロは2002年9月と2005年11月にマイナーチェンジ。マイナーチェンジのたびにデザインはより都会的でラグジュアリーな方向へと進化しているのも特徴です。

▲3代目パジェロショートスーパーエクシード

他メーカーを見ると、1997年12月に登場したラグジュアリー路線のクロスオーバーSUV、ハリアーが大ヒット。その後、世界中の自動車メーカーから乗用車ライクのモノコックボディのクロスオーバーモデルが登場します。

パジェロは3代目からモノコックボディにラダーフレームを溶接したラダーフレーム・ビルトイン・モノコック構造に変わり乗り心地も大幅に向上しました。

しかし時代がクロスオーバーモデルへとシフトする中で、だんだんと影が薄くなっていきました。

 

■4代目(2006年):3代目からの正常進化。13年製造後、国内販売終了に

▲4代目パジェロロングスーパーエクシード

2006年10月、パジェロは4代目へとフルモデルチェンジを行います。従来同様ロングボディとショートボディを用意。エンジンはロング、ショートともにV6 3.8LとV6 3Lとを搭載しました。

先代で採用されたラダーフレーム・ビルトイン・モノコック構造の継続採用により、オンロードでの使いやすさはもちろん、アプローチアングル36.6度、デパーチャーアングル25度など、乗用車ベースのクロスオーバーSUVには真似できないオフロードの走破性が確保されています。

4WDは燃費重視の「2H」、市街地や高速道路などでも安定して走れる「4H」、センターデフをロックさせて積雪路やダートなどで威力を発揮する「4HLc」、岩場や泥濘地を走るときに大きな駆動力をタイヤに伝える「4LLc」を選べるスーパーセレクト 4WD-IIを採用しています。

▲4代目パジェロショートVR-Ⅱ

パジェロが本格的4WDであることを象徴するもののひとつが、ロングボディ、ショートボディともに5MTモデルが設定されていたことでしょう。少数かもしれませんが初代から乗り続けている人、仕事で使っている人の中にはMTを熱望する人もいます。その人たちのことを考えたラインナップを用意したのは、三菱の心意気だったと思います。

▲ダカールラリー7連覇を達成したパジェロ(2007年)

そしてパジェロといえばダカールラリー。三菱は1997年に篠塚建次郎氏がドライブするパジェロで総合優勝、2003年には増岡浩氏が日本人で初めて2連覇という偉業を成し遂げます。その勢いもあり、2007年には7連覇という快挙を達成しました。

▲レーシング ランサー(2009年)

2008年は社会情勢でダカールラリーが中止に。翌2009年、三菱はレーシング ランサーでダカールラリーに参戦します。しかし2009年2月、世界的な景気の悪化や一連の不祥事が影響して三菱はダカールラリーからの撤退を表明します。

*  *  *

4代目パジェロは細かい改良を繰り返しながら現在も生産、しかし直近の販売台数は年間1000台に満たない状態でした。そして8月に国内販売分の生産が終了します。オンロード重視のクロスオーバー、さらに街中でも使いやすいコンパクトサイズのSUVが主流となっている現在、パジェロが国内販売終了となるのは仕方ないことかもしれません。

しかし中古車相場を見て見ると、ゴールデンウイーク明けから平均価格は上昇傾向に転じています。歴史あるモデル、名車と呼ばれるモデルが生産終了になるとき、多くの人にいろいろな想いが生まれ、中古車を探す人が増えて人気が再熱することも。パジェロもその傾向が出始めているといえるかもしれません。

過去に乗っていた人、いつか乗ってみたいと思っていた人。これを機会にパジェロの中古車に注目してみるのもおもしろいかもしれませんよ。

>> 三菱「パジェロ」

 


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(文/高橋 満<ブリッジマン>)

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