コーヒーが直面する危機的未来を救う鍵と4つの証言[コスタリカコーヒーツアー後編]

■証言1「自然にとって必要なこと」

▲コスタリカは国土の多くが山で覆われている。サンホセを少し離れただけでこの風景

マイクロバスに揺られること約2時間。コスタリカの首都サンホセから南へ約70km、標高1400mを超える山の中にLa Candelilla(ラ・キャンデリラ)という小さなコーヒー農園があります。

かなりワイルドなドライブの末にたどり着いたのは、急峻な地形の中にコーヒーの木が広がる、まさに小規模農園を絵に描いたような場所でした。

ここでは、サンチェス家の7つの家族が7ヘクタールの農地をシェアしてコーヒーの木を栽培しています。

▲周囲を山に囲まれた谷あいに農園がある

そしてここには、小規模農家では珍しいコーヒーの加工設備を持っています。自分たちの手で収穫したコーヒーチェリーは、自分たちの手で加工し、生豆として出荷しています。

▲土壌のチェック。定期的にサンプルを農学者に送り品質を確認

▲ウェットミルと呼ばれる加工場。コスタリカでは近年、このような小さなミル(マクロミル)による生産が行われるようになっているという

▲加工したコーヒーは天日干しに。この農園では、カトゥーラやゲイシャ、ティピカといった品種を栽培している。ここで作られたコーヒーは過去にスターバックス リザーブで「COSTA RICA LA CANDELILLA」という名前で販売されたことがある

農園主のひとりであるヒューゴさんは、高品質なコーヒー豆の条件を「良い木と良い農園が必要」と話してくれました。

▲Hugo Sanchezさん。ラテンアメリカで最も評価されているコーヒープロデューサーのひとり。コーヒーはブラック派。1日の最初の1杯は朝4時だとか。「1日中コーヒーを飲み続けてるよ!」

「そしてもちろん品質の良いコーヒーチェリーを摘むことだね。それを十分時間をかけて乾燥させる。そうすることで、品質の高いコーヒーになるんだよ。そうそう我々も“C.A.F.E.プラクティス”には参加しているよ。あれはエクセレントだね。これを満たせる農園にすると、自然にとって必要なことと自分にとって必要なことのバランスが取れるんだ。農園の土も、人間以外の生物も必要としているモノだと思うよ」

高品質なコーヒーには欠かせないかもしれないキーワード“C.A.F.E.プラクティス”。実は、次に訪れた小規模農園でも話に出てきたんです。

 

■証言2「小規模農家も社会的、環境的な責任を果たさなければいけない」

▲Felix Mongeさん。La Candelillaもあるタラズ地区でコーヒー農家を営む農場主。農園は3ヘクタールとコスタリカでは一般的な広さだ

フェリックスさんは、自分の農園の仕事の他に、農園があるタラズ地区のコーヒー協同組合の仕事もこなす、コスタリカコーヒー産業の次代を担う35歳の若き農園主です。

「タラズ協同組合の組合員は5000人以上います。そのうち30%が35歳未満で、平均年齢は45歳ぐらい。そして組合で収穫したコーヒー豆の60%はスターバックスが購買しています。もちろん“C.A.F.E.プラクティス”に参加していますよ。我々はフェアトレードの認証も受けているので、それほど多くのことを変えずにこのプログラムに対応できました。コーヒーの未来を考えると、我々のような小規模農家も社会的、環境的な責任を果たさなければいけないと思っています」

▲鬱蒼とコーヒーの木が生い茂るフェリックスさんの農園。低い木がコーヒーで、高い木は日陰を作るためのシェードツリー

やはりここでも“C.A.F.E. プラクティス”という言葉が出てきました。どうやら高品質のコーヒー豆を作るうえで重要なキーワードなのかもしれません。

▲フェリックスさんの農園近くで出会った牛たち。タラズ協同組合でも一農家だけになった、昔ながらの輸送法

▲「時間はかかるよ~。1回で済まないときは、2回めからはトラックを使ってるかな。ハハハ!」とのこと。コスタリカの農家の人々はみな明るい!

▲タラズ協同組合の加工場。組合員は収穫したコーヒーチェリーをここに運び込む。手前に停まっているのはトヨタ「ランドクルーザー」の40系(通称ヨンマル)のトラック。コスタリカではこのトラックタイプのヨンマルが数多く走っていた! 実はコスタリカは日本車が多く走っているのだ

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