ヤシ殻を使った成形炭「eco TAN」は想像以上に火力が強いうえに燃焼時間が長くBBQにもピッタリ!

■DIYショーで見つけたヤシ殻を使った成形炭

さて、話は変わるのですが、私は先日、幕張メッセで開催された「JAPAN DIY HOMECENTERショー2022」に行ってきました。この「DIYショー」は本来、一般社団法人日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会が開催する、ホームセンター業界最大の展示イベントなのですが、最近のアウトドア人気の高まりもあり、多くのメーカーが、新しいキャンプアイテムの提案を行なっています。

そしてその中で、ちょっと目を引く「木炭」を見つけました。それが「ヤシ殻成形炭 eco TAN」です。

まず第一の特徴は、そのお洒落なパッケージデザイン。特に5kg入りはイグサで編まれたエキゾチックなバッグに入っていて、キャンプサイトに炭を持ち込むのにぴったりです。

では中身の炭はどうなのでしょうか? 「ヤシ殻成形炭 eco TAN」は名前の通り「成型炭」の一種です。成型炭とは、木材加工で出る木屑を圧縮成型し炭焼きしたものが一般的で、オガ炭などの名称で昔から販売され、そのコストパフォーマンスの良さから炭火料理のプロの間で人気となっています。

「eco TAN」もこの成型炭の一種なのですが材料が異なり、こちらはココナッツオイルやミルクを取った後に出る廃棄物の「ヤシの実の殻」が原材料。マングローブ炭のように汽水域の貴重な森林資源を伐採することなく、産業廃棄物のリサイクルで作られているのが、とってもエコロジーでいいですね。

ただし単純にエコで環境に良いだけで、炭としての性能がイマイチでは燃料として意味がありません。ここはじっくりと、その性能を試してみましょう。

まずは大きさは、直径が4.5cmで高さが5cm。これは一般的な七輪やソロキャンに人気の卓上小型コンロにジャストフィットなサイズで非常に使いやすいです。

着火方法と着火性は一般的な黒炭(ナラ炭など)と変わりませんが、他の成型炭と同じように真ん中に穴が開いており、通風路・煙突的な効果を発揮してくれます。

「eco TAN」の公式サイトでは、炭をカマドのように二階建てに組み立てて、真ん中の空間にバーナーに火を当てる方法を推奨していますが、この穴が熱と空気の通り道となって簡単に着火ができました。

▲着火から3時間以上たったところですが、まだまだ形は残っています

またこの商品の特徴のひとつが燃焼時間の長さにあります。安いマングローブ炭なら数十分で火力が落ちてくるところ、「eco TAN」は2時間以上も強い火力を維持してくれました。

■調理して検証!その実力は?

火力は非常に高く、ソロキャン用のグリルで使用すれば焼き鳥やサザエの壺焼きがアッという間に完成!

また成型炭の中にたまにある、強い異臭がなく、安心して直火の網焼きも楽しめました。

BBQ用燃料としての性能を確かめるために、ホットサンドメーカーや鋳鉄のスキレットを使ってみましたが、どちらもしっかりと熱が通り、その火力は十分だとわかりました。

写真では少しわかりにくいかもしれませんが、スキレットの目玉焼きの横にあるのは自家製ハンバーグ。焼くのが難しいハンバーグも、中までしっかり火が通り、上にのせたチーズも良い感じにとろけました。

逆に火力が強いので、網焼きで肉や魚、ハムなどを焼く場合は注意が必要かもしれません。

※ ※ ※

商品パッケージのカッコ良さに惹かれて手に取った「eco TAN」でしたが、その性能はなかなかのもので、いつも使っているナラ炭から乗り換えようかと思わせる魅力がありました。特に便利だったのが「成型炭」最大のメリットである均一な大きさと形です。

私は特に七輪を愛用しているので、この特徴は非常に有用でしたし、卓上小型コンロを使う人たちにもメリットは大きいと思います。燃焼時間が長いので、荷物を減らせるのもソロキャンプに良いですね。逆に大人数で大きなBBQグリルに使用するには、サイズが少し小さいかもしれません。

ここ数年のキャンプ人気の上昇によって、キャンプ料理を楽しむ人も増え、それによって必要になる道具のバリエーションも多種多様となっています。BBQの要となる燃料「木炭」も、その人の目的に合わせて、いろいろな形態と性能が必要とされるようになったのではないでしょうか。そんなことを考えさせられた今回の野外調理取材でした。

>> ボンド商事「uncle-b」

<写真・取材・文/阪口 克>

阪口克|旅と自然の中の暮らしをテーマに国内外を取材するフリーカメラマン。秩父郡長瀞町の自宅は6年かけて家族でセルフビルド。著書に『家をセルフでビルドしたい』(文藝春秋)、『ビジュアル版焚き火のすべて』(草思社)、『ファイアーサイドクラフト』(山と渓谷社)ほか多数

 

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