「Hey Siri」や「OK,Google」はもう超えた!? スマホで「ChatGPT」や「Copilot」を活用してみる

■OpenAI純正のChatGPTとブラウザ「Edge」のCopilotでテスト

まずは利用するAIアプリの準備から。

今回、僕が利用するのは、OpenAI純正のChatGPTアプリと、ブラウザ「Edge」のアプリ版に搭載されているCopilotです。

▲ChatGPTは“Start voice conversation”でダイレクトに音声認識が可能

iPhone 15 Proのアクションボタンを利用する場合にはChatGPTは“Start voice conversation”(音声によるやり取りの開始)を直接呼び出せるので、呼び出し部分にはさほど不自由はなし。ただし、音声認識可能になるまでに2~3秒のラグがあります。

▲音声によるレスポンス中は画面表示なしになるのも残念

ChatGPTを使ってみて気になったところは、音声で話しかけてから反応まで30秒以上と遅い点。回答音声は外国人風日本語で返してくれますが、音声回答中に画面表示がない点も残念。スマホを手に持っていることも多いので、どうせなら文字情報も出してほしいですね。また時々、いきなり英語で答えだすことがあるので、日本語でお願いしますと頼みましょう。

▲Copilotはブラウザアプリ「Edge」の下のボタンから呼び出すのがモバイル利用向き

マイクロソフトのCopilotは、ふたつの使い方があります。アプリ版のCopilotはBluetoothで接続済みのワイヤレスイヤホンを無視して本体スピーカーで応答します。ブラウザ「Edge」内蔵のCopilotはワイヤレスイヤホンからの呼びかけで応答してくれるので、屋外利用では「Edge」のアプリ内Copilotを使う他ありませんね。

▲EdgeアプリからCopilotのボタンを押せば、後はCopilotの画面と同じ

Edgeで活用する際には、アプリを起動後、画面下のCopilotボタンを押して、さらに音声認識ボタンを押す操作が必要。ただ、スマホを手に持っていれば操作は難しくありません。音声認識開始も早く1秒以下ですね。レスポンスは10秒以上かかるので決して早くはありません。

今回は外出先で使うシチェーションなので、Siriで同じことを尋ねた結果も比べてみました。なお、レスポンスは“Hey Siri”で呼び出せるSiriがぶっちぎりで優秀です。

 

■3つの質問でテスト

まず、スマホで調べ物をしたい情報の代表格は、移動手段ですね。ChatGPTとCopilotに、外出先の池袋から東京駅への行き方を聞いてみました。

結果はこちら。

▼ChatGPTによる回答

 ▲出発地が分からないようで音声で答えて質問します

▼Copilotによる回答

▲いきなり東京駅の説明まで語りだすCopilot。ちょっと残念な回答です

…なんと、ここでいきなりAIの弱点が発覚。AIはスマホの位置情報を使えないので、ChatGPTもCopilot(Edge)も現在地がどこなのかを考慮して回答してくれません。もちろん、知識としてはAIも持っているので答えてくれるけど、地図連動もしないので徒歩の時間や時刻表連動も不可。

こうした用途では、いきなり検索して結果を出してくれるSiriやGoogleアシスタントが便利でした。

▼Siriによる回答

▲iOSの「マップ」アプリを利用してルートを表示してくれます

次に、個人的にAIを使いたいと思った用途が、“こまごまと文字入力をして検索するのも面倒な調べ物をしたい時”。

「ここの近くに美味しいラーメン屋さんはない?」と聞いてみました。場所を聞かれたら「池袋駅」と答えます。

結果はこちら。

▼ChatGPTによる回答

▲ちょっとラーメン通っぽいチョイスで教えてくれました

▼Copilotによる回答

▲Copilotは新宿も含めた広めのエリアで回答

ChatGPTは池袋に絞って回答してくれたのに対して、Copilotは池袋に限定しません。また、どちらも地図まで開いてくれない点は一緒。でも、どちらもリンクが貼られているので、お店に向かうことはできます。

ちなみにSiriに尋ねてみると、一瞬でマップアプリを開いて現在地周辺のラーメン屋をリストアップ。食べログ評価の高い店を推してきます。これは急いで店探しをしたい時には便利。

▼Siriによる回答

▲地図連動なので行きやすさはトップ

続いて、仕事でピンチのシチェーション。「次の予定に遅れそうなんだけど、どうしたらいい?」とChatGPTとCopilotにアドバイスを求めました。

結果はこちら。

▼ChatGPTによる回答

▲すぐに連絡を取るという常識的な回答です

▼Copilotによる回答

▲常識的な回答。ただ電話連絡を推奨なのでこちらの方がベターか

ChatGPTもCopilot的確なアドバイスを得られました。どちらかというとCopilotの方が良いアドバイスですが、これはCopilotは回答内容がBingで検索してヒットしたサイトへの依存度が高く、日本語でビジネスマナーを解説しているWebを元にしているからですね。

なお、Siriに同じ質問をするとカレンダー登録済みの次のスケジュールを表示…残念ながら役に立ちませんでした。

実際にスマホでAIチャットを試してみると、次のことがわかりました。

まず、スマホならではの、外出先で「今、この場所で知りたいこと」という検索は明確に苦手。これはChatGPTもにせよ、Copilotにせよ位置情報にアクセスできないことが原因です。SiriとGoogleアシスタントはこれらを完全にクリアしています。AppleもGoogleもスマホのOSに統合されていること、自社で地図アプリを持っていることが、想像以上の利便性でプラスに働いています。

▲これはGoogleアシスタントの回答。地図と連動して回答するのがとても便利

一方で、今回の3つの検証では良さが伝わらないかもしれませんが、AIチャットは「ちょっとした検索では調べにくいことを、深く調べて回答してくれる」能力に優れます。例えばラーメン屋さんの情報で、ここから「さっぱり系の味でおすすめはある?」のようなに無茶振りも出来る点が、AIに尋ねる面白さ。ただし、ハレーション(幻覚、嘘情報)の可能性もありますが。

▲ChatGPTにさっぱり系ラーメンをリクエスト。ちゃんと回答内容は変わります

それでも、スマホで自由に使えるにはあと一歩と考えてしまったのは事実。これは、Appleが開発中と噂されているAppleGPTや、Googleが試験運用中のBARD(Gemini)がスマホのGoogleアシスタントに統合されれば、クリアできる問題ですね。ChatGPTやCopilotが位置情報や地図にアクセスできるようになる、という解決策も考えられます。

現状ではフライング気味ではありますが、スマホにでChatGPTやCopilotを使って、AIを先取りするのはアリだと思いますよ!

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube

 

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