【試乗】スズキの新アルト ラパンは、全国のオジサンを敵に回した!?

こんなに憤っているのには、もちろん理由があります。新しいラパンは、狙いが明確でキャラクターがとってもいいんです。

既存ユーザーの9割が女性だといいますから、女性目線から女性が乗りたくなるクルマを作ったことは理解できます。でも、そのデキがあまりにいいので、オジサンである私はジェラっているのです!

一番のジェラシーポイントは、車体の軽さです。乗ると「かるッ!」って思っちゃいます。先代が800kgだったところを、120kgもダイエットして680kgに。これが、元々1500kgくらいのクルマだったら、まだ理解もできます。でも、元々800kgしかなかったわけですから、これはミラクル。

スズキ製エンジンを積むプリミティブなスポーツカー、ケーターハム社の「セブン160」だって490kgもあるんです。4人も乗れて、エアコンも付いていて、荷物も積めて、屋根もあるのに、680kgって軽すぎませんか? 人間だったら、超絶リバウンドを気にせずにはおられないレベルですよ。

だから、走りがとっても軽いんです。ターボ付きエンジンほどではありませんが、環境性能に優れた自然吸気エンジンなのに、スイスイ走ってくれるのがうれしいですね。

燃費もいいですよぉ。リチウムイオンバッテリーを積んだ2WDの“エネチャージ”搭載モデルだと、レギュラーガソリンで35.6km/L(JC08モード)走ります。タンク容量は27Lなので、理論上は無給油で961.2kmも走行可能。チョイ乗りを繰り返していると、前回いつ給油したのか、フツーに忘れちゃいそうですね。

軽さといえば車体だけでなく、ステアリングも軽い。電動アシストとステアリングギヤレシオの見直しから軽く仕上がっているそうです。柳沢慎吾さんのコント風に、片手でクルクル回せそうです(推奨はしませんが)。

気になるエクステリアのデザインは、かなりいい線いっていると思いますが、いかがでしょう? 英国ブランドのMINIが実際そうかどうか別として、「MINIのように中性的にまとめました」といってもらえれば、オジサンも十分に射程距離に入れられる気がします。しかも、ボディカラーは新色含めて12色ですよ! カラバリ多くて羨ましすぎ。昨今のオジサン向けのクルマなんて「白と灰と黒の中から選んでくださいね」って感じなのに…。

デザイン的にチャレンジを感じるのは、インテリアですね。マイルーム感覚です。素材感とその素材の組み合わせには「お値段以上」の雰囲気を感じます。ルーフの内張りがキルティング加工のように成形されているなど、ワザありなところもあります。グッドです。

欲をいえば、IKEA的な北欧センスでまとめた中性的な仕様があると、オジサンももっと手を伸ばしやすいなぁ。ダメですかねぇ? クラシックMINIみたいに老若男女を問わず、受け入れられる気がするのですが…。

ちなみに、フルオートエアコンにはパナソニックの“ナノイー”機能を内蔵。あまり強く謳われていませんが、乗れば乗るほどキレイになれそうです。オジサンだって、スーツのヤニ臭さを抑えられてうれしいのですよ。加齢臭も消えませんかね? こちらにも効果あるとカンペキなのですが…。

最後にもうひとつ、お気に入りのポイント。インパネ中央に収まるカーナビは、まるでモニター部分だけがレイアウトされているように見えますが、実際は筐体ごと、スッポリとここへ収めてあります。つまり、社外品の好きなナビを選んで、同じようにインストールできるということ。IT関連のデバイスは日進月歩ですから、陳腐化したら新しいタイプに取り替えやすい設計は、オジサン的にもウエルカムなのです。

以上、誰にも期待されていない、オジサンによるアルト ラパンの試乗レポートでした!

<SPECIFICATIONS>
☆X 2WD
ボディサイズ:L3395×W1475×H575mm
車重:680kg
駆動方式:FF
エンジン:658cc 直列3気筒
トランスミッション:CVT
最高出力:52馬力/6500回転
最大トルク:6.4kg-m/4000回転
価格:138万9960円

(文・写真/ブンタ)

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