【試乗】“駆け抜ける歓び”はバイクも健在!先進的なBMWモトラッドの真価とは?

最後に乗ったのは、トラディショナルな空油冷の水平対向2気筒エンジンを搭載した「R nine T」。デザインもクラシカルですが、倒立式のサスペンションやABSなど、装備は最新のものを搭載した“ネオレトロ”なんて呼ばれるジャンルのマシンです。

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今回試乗した中で一番楽しかったのは、実はこのマシン。まず良かったのがエンジンのフィーリングです。1169ccの空冷エンジンは、火を入れた瞬間から大排気量の2気筒らしい鼓動感が伝わってきます。

そして、それは走り出してからも同様。エンジンの中で起きた爆発が地面を蹴ってバイクを前に進ませてくれているかのような、厚いトルク感がなんとも気持ち良いです。この感覚は、同じ水平対向のボクサーエンジンでも、水冷式を積むR 1200 GSではあまり感じられなかったもの。最高出力は110馬力と控えめですが、視覚的にも特徴的なエンジンが、走りの個性になっています。

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もうひとつの楽しさの源泉は、その軽い操作性。車重は222kg(満タン時)と決して軽量な方ではありませんが、押して歩くだけでもその操作感の軽さは感じられます。ABS以外に電子制御を搭載しないシンプルな装備や、動きの良いサスペンションが貢献しているようです。フロントには、一般的なテレスコピック式の倒立フォークが、リアにはシャフトドライブと相性の良いパラレバー式のサスペンションを装備しています。

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その軽さは、走り出してからももちろん感じられます。エンジンはトルク感は強いものの、レスポンスは過剰な鋭さはなく、アクセルを開けやすいセッティング。でも、アクセルを開ければ車体は素早く加速してくれます。

そして、コーナーでの倒し込みといった操作も、とても軽快で気持ち良いもの。サスペンションの固さや車体の剛性がちょうどいい塩梅なので、軽い操作で車体がバンクしてくれます。頑張ってスピードを出さなくても思いのままに寝かせられるので、峠道はもちろん、交差点を曲がることすら楽しく感じられるのがR nine Tの最大の魅力でしょう。

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付け加えるならば、シンプルな造形ゆえにカスタマイズがしやすいのも、このマシンの魅力。特に、シート以降のリアフレームは脱着が可能なので、手軽に交換することができます。試乗したマシンには、カフェレーサーを思わせるシングルシートと、アクラポビッチ社製のマフラーが装着されていました。

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■アクションライディングもこなす「F800R」

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