【知識】コンセント経由でネットにつながる「PLC」って今どうなってるの?

■家庭ではWi-Fiでいい!?

──今も開発を続けているのは、それに見合う需要があるということなんでしょうか。それとも、技術として継承していこうということなのか…。

 正直、両方ですね。やめてしまうほど需要が少ないわけではないんですよ。

──あっ、そうなんですね。

 我々はPLCが日本の法律で認められた時点からのプレイヤーでもあり、今残っているのは弊社とパナソニックさんだけなんですね。パナソニックさんとはHD-PLCのアライアンスもあって、その責務みたいなものもありますし。

──今後、PLCが新たな展開を迎えることは?

 すでにリリースは出されているんですが、2年ほど前のCEATECで、PLCの新しい世代のお知らせがありました。第4世代ですね。パナソニックさんは「HD-PLC Quatro Core」と呼んでいますが、速度が4倍になってGbps級になるなどの大きな進歩があります。まだ製品化はされていないんですが。

──Gbps級になると、家庭にも普及しそうじゃないですか? これからは4K動画ももっと一般的になってくるので、そこにも有利に…

 それが…残念ながら、そこに乗れそうにはないんですよ…。

──ええっ! それはまたどういうことですか?

 4倍になってGbps級になるというのは、電線以外で電波を通した場合なんです。

──ん? PLCというのは、イコール「電線に電波を乗せてネットにつなぐ」ということでしたよね? それが「電線以外」とは?

 実はPLCは電線以外でも、TVの接続などに使われる「同軸ケーブル」でも使用可能でして、「4倍」「Gbps級」というのはこの場合の話なんです。電線を使う場合は日本の法律で速度が決められてしまっていて、今の速度を超えられないんですよ。

──何と! では現在の第3世代でほぼMAXのスピードが出ているということなんですか?

 そうなりますね。なので、法律の制限がない電線以外のケーブルではもっとスピードが出るということなんですが。あと海外では、4倍はいかないまでも、もっと速度が出せると思います。

──そうですか…。国内では今のところ、ちょっと残念な感じですね…。PLC関連で何か明るいニュースはないんでしょうか(笑)。

 昨年ぐらいからパナソニックさんが家電へのPLCの組み込みを加速させるとおっしゃっているので、そこは新たな展開につながるかもしれません。洗濯機とか冷蔵庫とか、産業向けの用途ですね。ただ、それに伴って「HD-PLC」の名称を「IoT-PLC」に変えるということらしくて。名前が変わったから何が変わるのかというのは、私たちもよく分かってはいないんですけども…。

──ということは、これからのPLCというのは「家電を購入したら知らないうちに使っていた」という感じになってくるんですかね?

 そういうイメージですね。ただ一方で、パナソニックさんは昨年、ソフトバンクさんと組んで「NB-IoT」を進めていくという発表もしてまして。

NB-IoT=Narrow Band IoTとは、狭い周波数帯域を使った通信規格で、パナソニックとソフトバンクは、この規格を使ったインターネットに常時接続する家電の実証実験を開始している。

──うーん、混沌としてるんですね(笑)。

 まあ、「NB-IoT」は通信料が発生してしまうというデメリットもあるんですけどね。PLCではそれはないので、住み分けはできるのかなとは思っています。

──なるほど。今回、もしかしたらPLCに何かバラ色の未来的な展開があるのかもと思って伺ったんですが…。

 うーん、3ヵ月後、半年後とかでしたら、もしかしたらそういうお話もできるのかもしれないですけどね。まあ現状ではニッチな需要なんですよ(苦笑)。先ほど、鉄筋の建物では有利という話もしましたが、Wi-Fiの電波は反射して届くものでもあるので、壁や扉が全て鉄板だったりしない限りはWi-Fiで届いちゃうんですよね。

──ということは、家庭での用途に関しては…。

 Wi-Fiでいいと思います。

──そうですか…(笑)。

 環境的にどうしても無線がつながらない時に、「あ、PLCがあったな」と思い出してもらえればいいかなと。

▲PLCはWi-Fiとは異なり、必ず複数セットで使用する

岩丸 実は私の自宅は、まさにそういう環境なんですよ。

──おっ、身近に利用例が!

岩丸 自宅で使っているプリンターの置き場所が、いろんな事情でどうしても電波の届かないところしかなくてですね。それでPLCでつないで使っています。まあ、非常にレアケースだとは思うんですが…。

──そういう例もなくはない、ということですね。

岩丸 はい、「無線ではどうしてもつながらない、どうしよう?」という状況の時に、諦めずにPLCのことを思い出していただければと思いますね。

──よく分かりました(笑)。では最後になりましたが、御社のPLC製品のラインナップについてご説明いただけますか?

岩丸 現在、「PLC-HD240」のシリーズと、法人向けの「PLC-HM240E」の2系統を展開しています。「PLC-HD240」シリーズは一般的なPLCアダプターで、親機と子機がペアリングされた状態で販売されていますので、ご家庭のコンセントに差し込むだけで接続が可能です。「PLC-HM240E」はマルチホップを採用していまして、親機と子機の1対1通信だけでなく、子機から別の子機につなげられて、通信距離をさらに伸ばすことができるというものです。

▲セッティングは簡単(画像提供:アイ・オー・データ機器)

──製品を見ると、すごくシンプルですよね。

岩丸 そうですね。基本的にボタン1つで接続できますので、煩わしい設定などは必要ありません。また弊社では、ご購入いただいてもネットワーク接続ができなかったという場合に購入代金をお返しする「ペイバックシステム」を採用していますので、安心してご購入いただければと思います。

──PLCについて、非常によく分かりました! 失礼なことばかりお聞きしてすみません…。

 いえいえ、マーケティングには反するのかもしれませんが、「つながらない場合もある」ことはこちらとしても知っておいていただきたいんですよね。「どこでもつながりますよ!」と言う手もあるんでしょうけども、それでガッカリさせてもいけないですし。適材適所で使っていただければと思います。

>> アイ・オー・データ機器

 


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(取材・文/高崎計三)

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