バッテリーシティ“深セン”で見た「ポータブル電源」製造現場と気になる安全性

■各国の安全基準を上回るテストを行うラボ

さてここからが本題。

今回、見学させてもらったのは、ポータブル電源メーカー「ジャクリ(Jackery)」の研究開発施設と工場です。

2011年に創業したジャクリ。黒とオレンジのポータブル電源といえばピンとくる人も多いのではないでしょうか。2025年末の段階で世界販売台数が700万台を超え、ポタ電界のリーディングブランドといえるメーカーです。ちなみに日本市場では現在まで7年連続で販売台数、売り上げともにナンバー1とのこと。

持続可能なエネルギーが身近になる社会を目指し、あらゆる場所であらゆる人が電気を使える環境にしたいという思いから創業し、ポータブル電源とソーラーパネルを販売してきたブランドです。

中国国内はもちろんですが、グローバルの展開先として北米、ヨーロッパ、そして日本が主な市場(ちなみに中国でのブランド名は「电小二」)。それぞれ市場によってニーズが異なり、日本ではコロナ禍でのキャンプ需要から始まり、近年では防災用としてのニーズも高まっているそう。防災用というニーズは日本ならではのようで、いかに日本が自然災害が多いか、そして備えに対して意識が高いかがわかります。

とはいえ、日本人の自分が言うのもなんですが、日本は面倒なマーケットではないかという気がします。そんな日本でも支持されている理由のひとつが、やはりサポート体制がしっかりしていることかもしれません。

日本法人(株式会社Jackery Japan)を設立し、日本でもカスタマーサポートを実施。電話対応などは日本で行い、さらに修理センターも設置しています。

深センの本社にもかなりの規模の日本部署を設置していることからも、ジャクリにとって日本が重要なマーケットだということが伝わります。

そんなジャクリがブランド初のポータブル電源を開発したのは2016年。そして2018年にはソーラーパネルを開発し、市場に送り出してきました。今や多くの人が知る存在となったリチウムイオンバッテリー搭載のポタ電ですが、登場して10年ほどしか経っていないというのは意外です。

そしてジャクリは、予想以上に厳しい基準でポータブル電源やソーラーパネルの安全性に関するテストを行っていることも分かりました。

▲深センにあるテストラボ

深センには本社だけでなく組立工場やテストラボがあり、さまざまな環境下でポータブル電源がどのように動くかがテストされています。

▼ジャクリの厳しいテストや製造現場についてはこちらの動画にて

ジャクリのポータブル電源に使われているバッテリーセル(蓄電する部分)は自社製造ではありません。しかし全体を制御するBMS(バッテリーマネジメントシステム)はジャクリが開発しており、例えば高温になった時や高圧が掛かった時、落下時などにバッテリーセルが発火などを起こさないよう電源を遮断できるかはBMSにかかっています。

さらに自社工場だからこそ実現できる、丁寧な作業。人の手をかけることを惜しまず、最後はしっかり人の目でチェックする。これらの工程を経て完成するポータブル電源は、現在まで自社原因によるリコール事故ゼロを継続しています。

日本の家電メーカーの工場を何度も取材してきた身からすると、それとなんら変わらない丁寧な組立やチェック工程、そして整頓されたクリーンな施設というのが取材した率直な感想です。

ジャクリのポータブル電源やソーラーパネルは、日本のPSE(電気用品安全法)を始め、アメリカや中国、ヨーロッパにある同様の安全基準を上回る基準を設け、それをクリアしたものを製品として世に送り出す。だからこそ実現した高い信頼性と言えるのかもしれません。

バッテリーの安全性について騒がれている昨今。モバイルバッテリーはもちろんのこと、ポータブル電源でもデザインやスペックに目が行きがちではあります。しかし、最も重要なのは安全性ということは言うまでもありません。

ジャクリはそこに、最も人の手や手間や時間を掛けている。

ソーラーパネルで発電し、ポータブル電源で蓄電しておけば、どこでも誰でも電化製品を使えるようになる。そんな世界を目指して創業したジャクリだからこそ、世界中の誰もが安全に便利な環境を享受できることを目指していることが分かります。

バッテリーの安全性は日本だけの問題ではなく、いまや世界的な問題です。そんな中、世界でも最先端のバッテリーシティに拠点を構えるジャクリが挑む、安全安心なバッテリーの供給。その現場を垣間見た数日間でした。

*  *  *

事故を発生させないためには、安全に取り扱うというユーザーひとりひとりの意識も重要です。リチウムイオンバッテリーが誕生し、商品化され、すでに30年以上。三元系リチウムイオンバッテリーが開発されてポータブル電源が生まれ、さらに現在主流となっているリン酸鉄リチウムイオンバッテリーが登場し、より安全で長寿命化が実現しました。以前よりバッテリー自体の安全性は高くなっているとはいえ、そこはやはり扱い方とメーカーの安全への取り組み方次第という部分はあります。

これからポータブル電源を購入しようと思っている人は、まずは検討しているメーカーの安全性のチェックから始めてみてください。

>> ジャクリ

<取材・文/円道秀和(GoodsPress Web)>

 

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