罪深いが、旨い。マッキー牧元がそっと教える、夜更けと夜明けの背徳メシ

◾️深夜焼肉の禁断。北海道・弘前の『けんちゃんホルモン』

 

▲マッキー牧元さんが訪れた時の店構え。現在は移転し、店名を変更し、『しろがね屋』(弘前)としてラーメンを中心に提供している

深夜焼肉の禁断は、経験した人も多いだろう。
しかし早朝焼肉の経験は、ないのではないか。
なんと朝ホルモンがあるという噂を聞いて、直行したのは弘前であった。
朝からホルモンの焼肉ですかあ?
そんな人種が、いるわけがない。
検証すべく、車を走らせる。
田んぼの真ん中に一軒、『けんちゃんホルモン』は建っていた。

 

メニューは、豚ホルモン、豚さがり、牛カルビ、牛バラ、ご飯、ラーメン、以上。これで充分でしょうというラインナップが、潔い。
気分はまだ懐疑的だが、食べ始めたら、鼻息が荒くなり、ドーパミンが放出し、加速がついた。
箸が止まりません。
早朝の食事はギルティではないが、これは極めて危険である。
なにしろ朝からコーフンするのだから、たまらない。
「もうこれはビールだぁ」と、朝ビールで乾杯した。
時間は朝7時である。

 

肉食べ、オンザライスにし、肉で巻いて、ビールをあおる。
豚ホルモンに一味をどっさりかけて、ビールをあおる。
「すいませんビールおかわりください」
勢いが止まらない。

夜に食べる焼肉より、食べ飲む速度が早くなる。
いけないことをしている気にもなってきた。
ご飯にキムチ乗せ、片面だけタレをつけた牛バラを乗せて巻いて食べる。
ああ、炊き立てご飯がうまい。
「ご飯いくらでもあっから食べてって」と、店主けんちゃんがうれしそう。
「なんで朝からやっているんですか?」と聞けば、
「早朝からタバコ買いに来る人がいて、5時に開けたんだけど、肉も食べたいという人がいて、朝からやり始めた」
「でも朝6時に来て、焼肉食う人が来るんだよね」と、驚いたようにいう。
いやいや、あなたが始めたからでしょうが。
「夜は」と聞けば、
「6時までに入ってくれれば、いくらでも飲みは付き合うよ」
一緒に飲みたいんかい。
ああ愉快。
「こんなアクティブな朝を過ごしたことはない」
同行した33歳女子は、あっさりした極細縮れ麺のラーメンをすすりながら、嬉しそうに笑った。
その言葉こそが、今朝の幸せのすべてだった。

 

 

<写真・文/マッキー牧元>

 

マッキー牧元|1955年東京出身。立教大学卒。㈱味の手帖 取締役編集顧問、タベアルキスト、食ジャーナリスト。年間外食数600食、全国・世界中を日々飲み食べ歩き、雑誌、Web ラジオ、テレビなどでリポートする。
>>ホームページ
>>ブログ「マッキー牧元人生食べ放題」

 

※掲載された店舗、料理などはマッキー牧元さんが訪れた際の情報となります。

トップページヘ

この記事のタイトルとURLをコピーする

関連するキーワード