CT125ハンターカブの歴史を紐解く。「アメリカでカブを売り出すために開発された」その65年もの変遷とは?

コロナ禍において「密を避ける乗りもの」として需要が増えた小型バイク。図らずも、このコロナ禍真っ只中に発売されたのがCT125ハンターカブでした。

2018年発売のモンキー125、スーパーカブC125に続くホンダの「アイコニックモデルのひとつ」としての登場でしたが、そのデュアルバーパスな唯一無二のスタイルと実用性からこれらのモデルの中でもずば抜けた人気を得て今日に至ります。

また、CT125ハンターカブの成功があったからこそ2022年発売のダックス125の実現に至ったのではないかとも推測します。

▲ホンダの「アイコニックモデル」の大ヒット作になったCT125ハンターカブ(画像:ホンダ)

そもそものハンターカブシリーズは、その出自を辿ると65年前の1961年にまで遡ります。ここでは始祖誕生の経緯から、その昔の日本仕様車は「不人気車」として短命に終わった経緯なども含めて、ハンターカブシリーズのストーリーをつぶさに紹介します。

■日本では初代からヒットしたカブが、アメリカ市場では大苦戦!

1958年、ホンダは満を持して「革命的バイク」スーパーカブを発売します。過去に例を見ない堅牢性と実用性に長けたエンジンを搭載したスーパーカブは、瞬く間に日本のバイクユーザーから支持を得ました。それまでミニバイクで主流だった鉄スクーターなどを「過去のもの」とするほどの勢いで、まさしくホンダが起こした革命だったと言って良いでしょう。

しかし、日本では絶大な支持を得たスーパーカブでしたが、アメリカに輸出しても販売不振が続きました。なぜならば、当時のアメリカではミニバイクの需要がほとんどなかったからです。

そこで現地のアメリカンホンダが考えを巡らせた末のアイデアが、「スーパーカブをアメリカのアウトドア愛好家たちにとっての足になるバイクにできないか」というもの。

アウトドア愛好家たちが、トラックの荷台にスーパーカブを積んで海や野山に遊びに行き、四輪が乗り込めないエリアでスーパーカブをトレールとして使い移動することができないか……当時の日本人には想像できないアメリカンホンダならではのアイデアでした。

そのアイデアを受けた日本のホンダはさっそくのその条件に見合うモデルを開発。従来のスーパーカブからレッグシールド、フロントフェンダー。チェーンケース、太いマフラーなどを外し、悪路を走れるブロックパターンタイヤ、大型キャリア、アンダーガードなども装備。一眼でアウトドアシーンで力を発揮できる仕様にしました。

1961年発売のこのモデルこそがスーパーカブの元祖トレールモデルであり、今日まで続くハンターカブシリーズの始祖・CA100Tトレール50でした。

▲後のハンターカブシリーズの始祖といえる、1961年発売のCA100T トレール50(画像:ホンダ)

 

▲1962年発売のCA105T トレール55。前年モデルをブラッシュアップさせたモデルです(画像:ホンダ)

 

なお、このモデルはアメリカのバイク専門店だけでなく、アウトドア専門店にも販路を広げたことで少しずつ認知を得ていき、翌年1962年には54ccの派生モデル・C105ST TRAIL55も誕生させました。

 

■初めて「ハンターカブ」のペットネームを冠した1963年のモデル

▲1963年発売のCA105T トレール55のマイナーチェンジモデル。初めて「ハンターカブ」のペットネームを冠し、シリーズの象徴となるアップマフラーを初めて装着しました(画像:ホンダ)

 

さらに、その翌年1963年にC105ST TRAIL55にアップマフラーを装備したモデルを発売しました。そして、今日まで続く「ハンターカブ」というペットネームがここで初めて命名されることになりました。

さらに1964年には、新設計の87ccのOHVエンジンを搭載した87ccモデル、CT200トレール90を発売。排気量が約1.6倍となり、パイプハンドルやマットガード付きフロントフェンダーなどを装備したことで、「アウトドア愛好家の足」としてさらに重宝されることになります。

▲1964年発売のCA200トレール90。87ccのOHVエンジンを搭載した他、自動遠心クラッチの4速で、リアスプロケットは2枚を装備(画像:ホンダ)

 

▲1966年発売のCT90トレール90。スーパーカブがOHVからOHCの新型エンジンになり、CT200にスーパーカブC90用の89.6ccOHCエンジンを搭載してモデルチェンジ。前期型は従来モデルを踏襲していますが、後期型はダブルのリアスプロケットを廃止し自動遠心クラッチの4段に副変速機を追加しました(画像:ホンダ)

 

▲1969年発売のCT90トレール90。フロントフォークがテレスコピックとなり、フレームにグレーのプラスチック製シュラウドを装着しました(画像:ホンダ)

 

▲1970年発売のCT90トレール90。折り畳みができるスイベルロックハンドルバーを装着(画像:ホンダ)

 

続く、1966年には89ccのOHCエンジンを搭載したCT90トレール90を発売。前期型は自動遠心クラッチの4段にリアスプロケットを採用。後期型はリアスプロケットを廃止し、自動遠心クラッチの4段に加え、副変速機を追加しました。今日のCT125ハンターカブは未搭載ではあるものの、ハンターカブの長い歴史の中において、この副変速機はシリーズ最大の特徴になりました。

さらに、1969年にはフルモデルチェンジを果たし、フレームパイプはプラスチック製のシュラウドで保護され、足回りと車載性能を高めました。今日のCT125ハンターカブに続く、フォルムの方向性はここで確立されました。

以降、CT90トレール90は1971年、1972年、1974年、1975年、1976年、1978年、1979年とマイナーチェンジを重ねながら、アメリカのアウトドアシーンで根強いユーザーを獲得し続けるに至りました。

▲1972年発売のCT90トレール90。サブタンクなどを標準搭載させ、当時としては「進化系ハンターカブ」となりました(画像:ホンダ)

 

▲ウインカーを標準装備した1974年発売のCT90トレール90(画像:ホンダ)

 

▲1975年発売のCT90トレール90。シュラウド、サイドカバーがフレームと同色になりました(画像:ホンダ)

 

▲1976年発売のCT90トレール90。リアショックのカバーを廃止に(画像:ホンダ)

 

▲1978年発売のCT90トレール90。ブライトイエローのボディで、山岳エリアでの視認性を高めました(画像:ホンダ)

 

▲1979年発売のCT90トレール90。ボディカラーが再び赤に戻ったタイプ(画像:ホンダ)

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