ほんとに出ちゃった“アキラ”風LMW【GP FRONTLINE】

■せめても“ほぼ”転ばない

YAMAHA
「NIKEN ナイケン」(178万2000円)

専用開発の15インチタイヤをフロント2輪に履き、スポーツバイクに匹敵する45度のバンク角と、高速での優れた直進安定性を実現。左右輪が独立して動き、路面からの衝撃もスムーズに吸収する。横風にもめっぽう強い。

▲2017年東京モーターショー出展時

●全長×全幅×全高:2150×885×1250mm
●シート高:820mm
●車両重量:263kg
●エンジン種類:水冷4ストロークDOHC 直列3気筒
●総排気量:845cc
●最高出力:116ps/10000rpm
●最大トルク:8.9kgf・m/8500rpm
●タイヤサイズ:120/70 R15(F)、190/55 R17(R)
●燃費:26.2km/L(定地燃費値)※2名乗車時

▼車体を深く寝かせられる新機構

ヤジロベーのように動く並行リンクをオフセットし、旋回時に発生する前2輪の僅かなズレを防止した“LMWアッカーマン・ジオメトリ”を新採用。ハンドル軸も後退させている。

▼両腕が路面をしっかりグリップ

モビルアーマーの両腕のような前2輪は、エンジンパワーを確実に伝えるよう地面を掴むイメージをデザイナ ーが表現したもの。くびれはヒップで操作することを印象付けている。

▼もはや反則技!?雨でも不安なくヒザが擦れる!!

普通のバイクなら車体を深く寝かせられないようなウェット路面で試乗したが、前2輪の接地感がしっかりあり、ヒザを擦るほどバンクさせても不安を感じなかった。ハードに攻めても疲れにくく、そのゆとりが安全性にも繋がりそう。

■前2輪で安全性も向上

「NIKEN」の最大の特徴は、バイクのように車体を傾けて曲がるLMW(リーニング・マルチ・ホイール)機構を採用していること。ヤマハはすでに排気量125ccや155ccのスクーター「トリシティ」で、その旋回力を実証済みだが、今度は845ccもの大排気量エンジンを積むスポーツモデルに飛躍させ、スムーズに旋回させる新技術も投入。より深いバンク角を実現している。

前2輪の利点は、グリップ力が上がること。もし片輪が滑っても、一方のタイヤがグリップしていれば転倒のリスクを回避できる。急ブレーキ、コーナリング、雨天時などに、従来のバイクで感じがちだった「フロントが滑るかも」という不安が解消され、走行時の疲労感も大幅に低減。安全性が大幅に向上し、安心感も高まった。

クローズドコースで実際に乗ってみると、大胆なまでに車体を深く寝かせられ、レーシングライダーのようにヒザを擦って走るのもたやすい。ハンドリングは重いと予想していたが、いい意味で裏切られ、荷重を意識すれば車体の向きは自然と、そして軽快に変わっていき、技量を問わず安心してスポーツライディングを楽しめる。昔から車体を傾けて曲がることにトコトンこだわるヤマハが、また新しい遊び感覚を味わえるマシンを世に送り出してきた。

本記事の内容はGoodsPress11月号11ページに掲載されています

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(取材・文/青木タカオ 写真/中野英幸)

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