みんな大好き『サンダーバード』の「3号&発射基地」を最新キットで楽しむ!【達人のプラモ術<サンダーバード3号&発射基地>】

■サンダーバードプラモデルの歴史(ちょっと長文)

プラモデルが発売されたのは1958年(昭和33年)、そしてサンダーバード(以下TB)が日本で公開されたのが、プラモデル第1次全盛期の冷めやらぬ1966年(昭和41年)ということもあり、TBメカがプラモデルとなるのは当然の成り行きでした。

TBプラモを最初に手掛けたのは、当時キャラクタープラモの最大手である今井科学株式会社です。高額だった正規のライセンスを取得、1966年(昭和41年)末に第1弾となるTB-2号ゼンマイ走行版が発売されました。劇中と同じようにコンテナを外すことができ、中には第1話に登場する高速エレベーターカーが入っていました。これが一大ヒットとなり、以降TBプラモが続々発売されます。

当時のキットはゼンマイ走行、モーターライズに加え、TBメカの特徴をよく再現していましたね。1号はゼンマイ走行に加えて翼が開き、なぜかバネで機首が飛ぶというギミックまで付いていました。

1番人気の2号はモーターライズやさまざまなサイズが発売され、劇中で登場するレスキューメカのミニプラモが付属するコンテナセットも大人気でした(コンテナセットは当時それなりに高価だったので誕生日とか正月でないと買えませんでしたけどね)。

あと高価だったのが1968年(昭和43年)発売の「サンダーバード秘密基地」。モーターライズで1号・3号がスイッチにより自動発射、そして2号はスイッチを入れるとヤシの木が倒れてカタパルトが上がり自動で発進するという夢のようなギミックを持つ豪華さ。当時の価格で2200円は子供のおこづかいでは手が出ない憧れのキットでした。

そしてレスキューメカの中でダントツの人気を博したのがモーターライズ走行とリアルにドリルが回転するジェットモグラでした。完成させてすぐ砂場に持っていき、地面に潜らせようとして、砂がギアボックスに入って壊してしまった子供が多数出たそうです。

TBプラモを発売して大成功した今井科学は1969年(昭和44年)に突然倒産します。TBのあとに公開されたスーパーマリオネーションドラマ『キャプテンスカーレット』の版権を獲得し数多くキットを発売しましたが、これが不発に終わり多大な負債を抱えてしまったようです。1966年(昭和41年)にウルトラマンの放送がスタートしてブームとなり、またキャプテンスカーレットのストーリーが難解で子供に不評だったことも売り上げ不振の要因と言われています。

その後、TBの金型の一部はバンダイが受け継ぎました。1970年(昭和45年)と1974年(昭和49年)には、東京12チャンネル(現在のテレビ東京)でサンダーバードが再放送されており、今井科学も昭和46年に業務を再開。残った金型でTBプラモを発売し、再ブレイクを果たしています。しかし今井科学は2002年に再び営業を停止。現在はアオシマから、旧イマイのキットをはじめ新金型によるTBメカが発売されています。

※参考文献
日本プラモデル工業協同組合編 (著)『日本プラモデル50年史 1958-2008』
伊籐秀明 編著 『今井科学キャラクタープラモ全集 1959~1969』

▲我が家のクローゼットから発掘したイマイ製の「サンダーバード2号(特大)」。ロゴマークを見るに同社が再建した際に発売されたキットだと思われる

▲今回ジェットモグラとどちらにしようか悩んでTB-3号をチョイス。ジェットモグラ(アオシマ旧パッケージ版)は過去3台作っているが、改めて作りたいキット候補

▲こちらもイマイ製TB-2号。ロゴマークが旧イマイのものだが、中身は初版キットのまま(成型色が違う)でゼンマイ走行ギミックが廃されたもの

▲アオシマから2022年発売された『サンダーバード1号&発射基地』

▲こちらも2022年にアオシマから発売された『サンダーバード2号コンテナドック』

次回はTB-3号のウエザリングとジオラマベースの製作を進めます。お楽しみに!

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>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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