【アルファロメオ ジュリア試乗】胸高鳴る走りと流麗なデザインに、ブランド復興を予感!

■2リッター4気筒はかつての「156」に通じる軽やかさ

今回はクアドリフォリオのほかに、ジュリアのエントリーグレードである「ジュリア」、ハイチューン版エンジン+4WDの「ヴェローチェ」も短時間ながらドライブできましたので、それぞれの印象をお伝えしましょう。

当初、エントリーグレード最大の魅力は価格と思っていましたが、それは間違いのようです。レーンデパーチャーウォーニングやアダプティブクルーズコントロール、ハーマン・カードン製オーディオなど、装備が一部省かれているのも事実ですが、ミドルクラスサルーンとして不満を感じることはありません。

また、200馬力の4気筒エンジンは軽やかなフィーリングで、軽快なステアリングフィールやフットワークとの相性も良好。かつての「156」時代のツインスパークエンジンに通じる軽やかさを、よりバランスに勝る後輪駆動で、現代流に解釈した仕様といえるかもしれません。90年代から2000年代初頭のアルファを知る人であれば、違和感なく「そうそう、この感じ!」と思われる方も多いのでは? いわゆる“素”のわびしさを感じることはありませんし、Cクラスや3シリーズ、アウディ「A4」を検討されているなら、一度試す価値は十分にあると思います。

左ハンドル、かつ4WDモデルのヴェローチェはというと、日本向けラインナップにおいては異色の存在に映るかもしれません。また、常識的な速度域であれば、足まわりやステアリングの感触はジュリアに通じるものなので、クアドリフォリオのようなハードさを感じることもありません。

とはいえ、280馬力版の直4ターボにムチをいれれば、十分以上のパフォーマンスを披露しますし、しなやかな足まわりに加え、4WDの安定感(安心感でしょうか)が加わったことで、より多くの人がアルファロメオの魅力を味わえるのでは? と思いました。

と、ついつい紹介に熱が入るジュリアですが、シリーズを通じて気づいたことがありました。それは、徹頭徹尾、岩のような剛性感や重厚な操作感を備えたドイツ勢とは異なり、グレードの別なく、ミドルクラスサルーンとは思えぬ軽快さと、しなやかな身のこなし、そして、何より独特の色気を備えているな、ということ。

ひと昔前のアルファロメオであれば、こうしたキーワードが意味するのは、もろさや軽薄さと引き換えに手に入れたはかなげ感触で、オーナーとなるにはある種の覚悟も必要でした。しかし新型ジュリアでは、クオリティも含め、プレミアムミドルクラスのグローバルな水準を十分に満たした上で、アルファロメオらしい艶やかさや柔軟さというキャラクターを構築しています。

かつては興味はありつつも、そのはかなさを理由に、アルファロメオの購入をあきらめたりためらったりしてきた人も多いことでしょう。しかしジュリアでは、そんな不安は一切不要。確かに、クルマは実用品、サルーンは快適性、という方にオススメするタイプのモデルではありませんが、走りや色気といったプラスαを求めたい人には、唯一無二の存在となることは間違いなさそうです。

<SPECIFICATIONS>
☆ジュリア クワドリフォリオ
ボディサイズ:L4635×W1865×H1435mm
車両重量:1710kg
駆動方式:FR
エンジン:2891cc V型6気筒 DOHC ツインターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力:510馬力/6500回転
最大トルク:61.2kg-m/2550回転
価格:1132万円

<SPECIFICATIONS>
☆ジュリア ヴェローチェ
ボディサイズ:L4655×W1865×H1435mm
車両重量:1670kg
駆動方式:4WD
エンジン:1995cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力:280馬力/5250回転
最大トルク:40.8kg-m/2250回転
価格:597万円

<SPECIFICATIONS>
☆ジュリア
ボディサイズ:L4645×W1865×H1435mm
車両重量:1590kg
駆動方式:FR
エンジン:1995cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力:200馬力/5000回転
最大トルク:33.7kg-m/1750回転
価格:446万円

(文&写真/村田尚之)


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