【VW ゴルフ R試乗】これぞGTIを超える頂点!圧倒的な速さにスムーズさ&安心感をプラス

■ゴルフ RではDSGが湿式7速へとグレードアップ

ゴルフの中かた“速い”モデルを選ぼうとすると、GTIとRがその候補に挙がりますが、実は両車は、ルックスのレベルから異なるイメージでまとめられています。

GTIが赤をイメージカラーとしているのに対し、Rはブルーをキーカラーに用いたデザイン。ホイールやグリルのデザインも若干異なり、ホットなイメージのGTIに対し、ややクールなRという印象にまとめられています。

乗り込んでみても印象の違いは同様で、GTIはチェック柄のシートなど明るいイメージですが、Rはシックな雰囲気に仕上げられています。

ただし、エンジンを始動させると、スタンダードの1.4リッターエンジンに対し、明確に重厚なエキゾーストノートを聞かせ“ただ者ではない”雰囲気をヒシヒシと伝えてくるのは、GTIとRの両車に共通するもの。中でもRは、落ち着いた配色ながら体をしっかりとホールドしてくれるフロントシートと相まって、ドライバーをやる気にさせてくれます。

アクセルペダルを踏んで走り出すと、ゴルフ Rは過激な面を感じさせてくるのかと思いきや、さにあらず。40.8kg-mというGTIよりさらに5kg-mも強大なトルクを持ちながら、その発生回転数が2000~5400回転と幅広いこともあって、“ドライビングプロファイル”機能を「ノーマル」にしておけば、街中でもギクシャクすることなく、1510kgのボディをスムーズに押し出してくれます。

しかし、高速道路に入り、ひとたびアクセルペダルを大きく踏み込むと、ゴルフ Rの持つポテンシャルが明らかになってきます。車重は同じDSGモデルで、GTIより100kgほど重いのですが、そんなことを感じさせることなく鋭く加速。特に、ドライビングプロファイル機能を「スポーツ」に切り替えると、一瞬、目がついて行かないほどの加速感を味わえます。

しかも、その強力なパワーを4輪で路面へと伝えてくれるので、安定感や安心感はFF(前輪駆動)を採用するGTIの比ではありません。以前、GTIのインプレッションで「日常性の延長に異次元の速さがある」と書いたのですが、その感覚はむしろ、Rの方が強く感じます。普通の感覚で乗れてしまうのに、スピードメーターはいつの間にかスゴい数字を指している、とでもいえばいいでしょうか。

310馬力を発揮するゴルフ Rのエンジンは、ピストンなど内部から始まり、高圧インジェクションバルブ、ターボチャージャーなど、あらゆる箇所をチューンナップしたもの。現行の4気筒エンジンの中で、最もパワフルなもののひとつに数えられるだけのことはあります。

もうひとつ、GTIとの大きな違いは、GTIが6速DSG(6速MTもあり)なのに対し、ゴルフ Rでは新開発の湿式多板構造マルチプレートクラッチを搭載した7速DSGが採用されていること。デュアルクラッチによる変速の速さとスムーズさに定評のあるVWのDSGですが、さらに滑らかさが増している印象です。前後輪のトラクションのかかり方を解析し、場合によってはリアタイヤに100%のトルクをかけることも可能な新世代の4WDシステム“4モーション”と相まって、GTIとは一線を画す、滑らかで安心感の高い加速フィールを実現しています。

そのスムーズさと安心感の高さは、コーナーリングでも同様。4輪でしっかりと路面を捉え、トラクションをかけてくれるので、コーナーを抜ける際の、曲がりながらアクセルを踏んでいくといったシーンでの安定感は抜群です。GTIの速さをさらに高次元に引き上げ、さらにスムーズさや安心感をプラスした走り、といえるでしょう。

<SPECIFICATIONS>
☆R(7速DSG)
ボディサイズ:L4275×W1800×H1465mm
車重:1510kg
駆動方式:4WD
エンジン:1984cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:7速DSG
最高出力:310馬力/5500~6500回転
最大トルク:40.8kg-m/2000~5400回転
価格:565万9000円

(文/増谷茂樹 写真/村田尚之)


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