アップデートで”LDACコーデック”対応!Anker「Liberty Air 2 Pro」は1万円台前半のハイコスパ機

■“LDACコーデック”で音質が大きく変化

SoundCoreのブランド名で完全ワイヤレスイヤホン市場でも存在感を高めつつあるAnkerが2021年1月に発売した完全ワイヤレスイヤホン「Liberty Air 2 Pro」。お手頃な機種の多いなかでもハイエンド(と言っても実勢価格1万2980円)の製品で、Anker独自技術“ウルトラノイズキャンセリング”を搭載。TV CMや街頭広告で目にした人も多いでしょう。

デザインは、アンテナ部が耳の下に出るスティック型。AirPodsで慣れ親しんでいる形状ですが、ガンメタ風のカラーだと精悍さが出てビジネスマン風でカッコイイ。アンテナがある分、本体サイズは大きめですが、重量は片側で実測約5.3g。アンテナの付け根部分でタッチ操作し、IPX4の防滴仕様になっています。

付属品のイヤーチップも9サイズと豪華。スマホアプリ「Soundcore」でイヤーチップ装着テストして最適なサイズを選べるようになっています。普段標準のMサイズを使う僕も、ワンサイズ上がぴったりでした。

バッテリーはイヤホンのみで最大7時間(ノイキャンOnでは6時間)、ケース込みで21時間(ノイキャンOnでは26時間)。ケースはAnker製品らしくワイヤレス充電も可能です。

そして「Soundcore」アプリが多機能。なかでも重要なポイントは9月7日より配信された“LDACコーデック”対応アップデート。ちなみに細かな点ですが、iOS版アプリから最新ファームウェアに更新してもLDAC対応の機能追加はなく、Android版アプリの“オーディオ品質”設定から“LDAC”を使おうとすると、対応ファームウェアをインストールできました。

でもまずは、LDACの前に特徴のひとつである騒音低減“ウルトラノイキャン”からチェックしてみましょう。

アプリで交通機関/屋内/屋外/カスタムの4つの設定に切り替えられます。屋内のエアコンなどの音も落ち着くし電車内の騒音も尖りは落ちますが、中低域の騒音は残り気味。ノイキャン性能は1万円クラスの完全ワイヤレスとしても強い方ではなく、正直、“ウルトラノイキャン”という文句に、名前負けしてる感はあるかも。

続いて、音質もチェックしていきます。

iPhoneで宇多田ヒカル『あなた』を聴くと、ハッキリと輪郭を持たせて立てる歌声、ズンズンと沈む重低音と、気持ち良いまでのドンシャリ系。でも、それが目立つだけでオーケストラの楽器の音の密度も余韻もあるので、情報量も負けていません。BrunoMarsの『24K Magic』では、ビートの深さ、躍動感ある音とさすがに相性が良さそうです。

続いて、Xperia 1 IIで“LDACコーデック”の実力もテスト。宇多田ヒカル『あなた』は、歌声から音の尖りが撮れて徹底した情報量志向にシフト。特に音の繊細さ、オーケストラの音の広がりやハンドクラップも丁寧に再現。低音も無闇に沈むだけでなく情報量も出てきて、高音質化の効果はとてもあります。BrunoMarsの『24K Magic』も、音圧の強さは残りますが、ノリの良さより、分析的な聴き方ができるサウンドに。価格に対する高音質のコスパは相当いいですね。

なお、スマホ側で設定する“LDACコーデック”の再生音質は、自動(330kbs/660kbps/990kbsで切り替え)でも、都内のターミナル駅では音途切れが多少ありました。これは音質とトレードと考えるべきでしょう。

ちなみに、アプリ側からはイコライザー設定で、22個ものプリセット、聴力測定でパーソナライズする“HearID”で最適化も可能と、音質カスタマイズ機能もとても豊富です。

通話機能では、ノイズリダクションを搭載した6つマイクで周囲の雑音を除去する機能も搭載。MacBook AirでZoomのオンライン会議をして試すと、高感度に声を拾っていて音のクリアネスは良好。周囲の音も適度に抑えます。片側接続、片側通話もできるので通話用にも便利に使えそうです。

*  *  *

Anker「Liberty Air 2 Pro」自体は今年1月発売なので既にロングセラーの域に入りますが、“LDACコーデック”対応アップデート後の音質はさすがに優秀。SoundCoreブランドの最上位機なので機能面でも出し惜しみナシ。これで実勢価格1万2980円は、やっぱりAnkerはハイコスパですね。

>> Anker「SoundCore」

 

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長

 

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