5代目デビュー間近!歴代シビックタイプRとはどんなマシンだったのか

■初代(EK9) ~ストイックな走り屋を熱狂させたレーシングハッチ

1997年8月、6代目シビックのマイナーチェンジで追加された初代シビックタイプR。タイプRとしてはNSX、インテグラに次ぐ、3機種目となります。NSXは和製スーパーカー、インテグラタイプRも222.8万円(3ドアクーペ/東京価格)と当時の若者が買うにはやや高めの設定だったのに対し、「ホンダのレーシングスピリットをより身近に感じられるモデル」として、199.8万円(東京価格、レースベース車は169.8万円)という20代でも無理すれば手が届く価格で登場しました。そして多くの若き走り屋たちが飛び付きました。

安価といってもそこは「タイプR」にだけ許される赤いバッジをつけたモデルです。一切の妥協がありません。タイプR専用の1.6L DOHC VTECは超高回転型で、6000rpmを超えたあたりから鞭が入り強烈な伸びを見せ、一気にレブリミットの9000rpmまで駆け上がります。185psという最高出力は8200rpmで発生しました。

もちろんサスペンションはタイプR専用のハードチューニングが施され、トルク感応型ヘリカルLSDの採用で、ハンドリング性能はかなり鋭いものでした。

シビックタイプRが登場したのはちょうど漫画『頭文字D』が人気となり、ランエボやインプレッサSTiがWRCで活躍し、280psのビッグパワーマシンも隆盛を誇った時代。駆動方式やパワーで好みがはっきり分かれ、オーナーはそれぞれ自分の選んだマシンがベストと信じ、走りを極めていました。シビックタイプRの挙動はかなりピーキーでしたが、ストイックにタイムを追求する走り屋に選ばれていた印象です。

中古車情報サイト「カーセンサーnet」を見てみると、中古車流通台数は47台(2017年6月27日現在、以下同)。価格帯は70万~250万円と状態によりかなりばらつきがあります。前オーナーにより手を加えられているものがほとんどなので、購入時は単純な走行距離や修復歴の有無だけでなく、ショップと話をしながら車両状態をしっかり見極めて選びたいところです。

 

■2代目(EP3) ~イギリスから輸入された不遇のタイプR

2代目となるシビックタイプRが登場したのは2001年12月。このタイプRは“Dangan”をコンセプトに、イギリスのHonda of the U.K. Manufacturingで製造され、日本に輸出されるという異色の経歴を持っています。

搭載エンジンは2LのDOHC i-VTEC。最高出力は215psまで高められ、先代同様の高回転型エンジンのパワーを余すところなく発揮させるため、クロスレシオ6速マニュアルトランスミッションが採用されました。骨格には高張力鋼板が多用され、軽量化と高剛性化を両立。ねじり剛性は初代に比べ80%も向上しています。

残念ながらこの2代目タイプRは商業的には成功とは言えず、4年弱の製造期間で販売されたのは5000台に満たないほど。その原因は3ドアハッチバックが日本でほぼ支持されなくなっていたこと、ベース車両がインパネシフトだったため、このタイプRもインパネシフトのMTとなり、走りを求めるユーザーから疑問視されたことなどが挙げられます。

ただ、考えようによってはマニアックなタイプRと言えなくもありません。中古車流通台数は先代と同程度となる40台強あり、価格帯は60万~150万円と、初代より買いやすくなっています。フルノーマル車やライトチューンにとどまっている中古車もあるので、ストイックさを求めるのではなく当時の空気感を味わいながら走りたいという人には狙い目モデルです。

 

【次ページ】3代目(FD2) ~ベース車の変更でタイプRもスポーツセダンに

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