ダイソン、バルミューダの実力は? 2017年家電のトレンド総決算<後編>

■ロボット掃除機のスマート化がさらに進む

安蔵:ここ数年、多くの人から「スティック掃除機は何を買えばいいの?」と質問されるようになりましたが、それに加えて多くなってきたのが「ロボット掃除機のオススメ」を聞かれることです。ロボット掃除機は2015年秋に発売されたアイロボット「ルンバ980」やダイソン「Dyson 360 Eye」などがWi-Fiを内蔵し、スマホアプリで掃除スケジュール設定や遠隔操作が可能になりました。2017年はルンバシリーズの新ラインアップがすべてWi-Fi内蔵になるなど、かなりスマート化が進んできましたね。

▲アイロボットの「ルンバ」シリーズは2017年8月に発表したモデルで最新全機種がWi-Fiを内蔵した

奈津子:パナソニックの「ルーロ」も最新モデルで初めてWi-Fi対応になりましたけど、ルンバとダイソンとはナビゲーションが違うんですよね。

▲パナソニックが2017年10月に発売した「ルーロ MC-RS800」(実勢価格13万8000円)

安蔵:そうなんです。カメラを使って天井や壁などを把握し、部屋の地図を作成しながら自機の位置を推定するところまでは一緒なんですけど、ルーロは部屋のマップを保存しておき、ゴミの多い箇所をマップに表示する「ゴミマップ」という機能がユニークです。

奈津子:あと、ルンバの場合は掃除してほしくない場所に「バーチャルウォール」という機器を置く必要がありますけど、ルンバの場合はスマホアプリで清掃してほしい場所、してほしくな場所のどちらかを選べるというのが画期的ですよね。スワイプでエリア選択ができる便利さは何にも代えがたいと思います。

安蔵:ルーロは赤外線センサーと超音波センサーに加えて、レーザーセンサーまで搭載したことで、障害物を検知する“解像度”が一気に上がった点にも注目です。

奈津子:2cm幅の障害物も検知できるということなので、テーブルやイスの脚を見つけて周りを掃除できるんですよね。「お坊さんの床掃除」のように細かくきれいに掃除してくれるのは、清潔好きなユーザーにはかなり快適だと思います。

▲新ルーロはレーザーセンサーを搭載したことで、約2cm幅の障害物まで検知できるようになった

 

■コードレスキャニスター掃除機にも注目

安蔵:昨年は「コードレスキャニスター掃除機の復活」というのも1つのトピックスでしたね。

奈津子:復活というと、以前にもあったのですか?

安蔵:実はコードレススティック掃除機よりも前に出ているんですが、売れなかったのか、しばらくなりを潜めていました。

奈津子:東芝とシャープがたて続けに発売しましたけど、ちょっとタイプが違う感じですよね。

安蔵:東芝の「VC-NXシリーズ」は本体がどっしりとしていますが、シャープの「Ractive Air EC-AS/APシリーズ」は本体が軽量コンパクトに仕上がっていますね。

▲東芝が2017年9月に発売したコードレスキャニスター掃除機「VC-NX1」(実勢価格7万8100円)

奈津子:私は東芝の「VC-NX1」を使っていますが、グリップの握り心地の良さと、毎分約12万回回転するモーターの威力がすごいですね。あとは、取り回しがしやすいのが魅力です。モーター部分が上下どちらになっても大丈夫なリバーシブル設計になっているので、階段や入り組んだ場所をを行ったり来たりして本体が裏返っても大丈夫なんです。なにかの感覚に似ていると思ったら、小型犬の散歩をしているときの感覚でした(笑)。

安蔵:シャープのRactive Airの本体の軽さも魅力ではありますが、普通のキャニスター掃除機と同じ感覚で使えて、充電も充電台に置くだけという手軽さは東芝の方が上ですね。

奈津子:ダイソンも2015年の「Dyson V6」、2016年の「Dyson V8」に次いで、その中間的な存在の「Dyson V7」を発売しましたよね。

▲ダイソンが2017年5月に発売した「Dyson V7」(実勢価格5万6000円)

安蔵:ダイソンらしいイノベーションが感じられないという意味ではちょっと残念でしたが、V8じゃ高い、V6じゃ物足りないしゴミが捨てにくい……という不満を解消するという意味では、消費者にとってうれしいラインアップ拡充だと思います。

奈津子:確かに私たちは「先進性」をついつい考えちゃいますけど、買う人にとっては魅力ですよね。

安蔵:コードレスキャニスター掃除機の復活も、紙パック式コードレス掃除機の登場なども、かなり裾野が広がった証拠です。コードレス掃除機の需要はロボット掃除機と同様に右肩上がりなので、まだまだ魅力的な製品がどんどん登場すると思いますよ。

【次ページ】液体洗剤・柔軟剤を自動投入するパナソニック洗濯機に注目

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