【ビジネスファッション裏技事典】
スーツだけでなく、ジャケパン、セットアップとビジネスファッションがどんどん多様化する昨今。それ故、「何をどんな風に着こなせばいいのかわからない(汗)」というおしゃれ迷子が増えている模様。そこで、さまざまなファッションメディアで活動するエディターが、その悩みを解決するビジネスファッションの裏技を伝授します。
押条事務所所長・ファッションエディター/押条良太
「MEN′S CLUB」編集部を経て独立。「OCEANS」「Begin」「LEON」などのメンズ誌やブランドのカタログ、広告を手掛ける。得意分野はスーツをはじめ、ドレス靴、ウェルネス、グルーミングと幅広い。湘南在住で、趣味はサーフィン。
Q. 「春の通勤スタイルがなんだかパッとしない…。手っ取り早く季節感のある着こなしにする方法はありませんか?」S.W.さん(30歳)
A. Vゾーンに“ざっくりニットタイ”を投入しましょう。いつものネクタイとチェンジするだけで、季節感も洒落感も両取りできます。
せっかく春が来たのに、服装は冬と代わり映えしない…その原因は“季節感のなさ”や“マンネリ感”にあるのでは? そこでひとつ、ニットタイを使ってみましょう。ニットタイとは、その名の通りニット素材でできたネクタイ。ウールやカシミアなどさまざまな種類がありますが、今回注目するのはシルクの糸で編まれた「ざっくりニットタイ」です。
その魅力は見るからに風通しの良さそうな編み目。いつものネクタイとチェンジするだけで、Vゾーンに春らしい軽快感と上質なカジュアル感を吹き込めるアイテムです。
■トレンドを気にせず使えるトラディショナルなネクタイです
ただ、お洒落に関心のある人はともかく、あまり馴染みがない人もいるでしょう。ニットタイはもともと1920年代に欧米のリゾートを中心に流行し、その後アメトラスタイルの定番アイテムに。日本には1960年代に上陸したと言われ、アイビーブームをきっかけに広まりました。意外にも、ポッと出のトレンドアイテムではないトラディショナルなネクタイなのです。
ざっくりニットタイは剣先が真っすぐになったスクエアエンドで、大剣幅はナロータイと呼ばれる細身が主流。ざっくりとしたニット素材のため、シワになりにくい点もポイントです。
■いつものネクタイとチェンジするだけでVゾーンが春らしい雰囲気に
ざっくりとした質感は実に軽やかで涼しげ。かつシルク特有の光沢感によって品の良さもキープできます。かっちりとしたスーツに使えば、程良い遊び心を加えられますし、ネイビーブレザーやジャケットとの相性も文句なし。夏の場合、半袖のドレスシャツや台襟付きのポロシャツに合わせるのもおすすめです。
着こなしも簡単で、大抵の色柄のスーツやシャツに合わせられます。結び方もベーシックなプレーンノットでOK。強いてコツを言えば、結ぶ際に結び目をふんわりさせることくらい。ただ、伸びやすいという欠点もあるので、無理な力で引っ張らないよう注意。なお、ざっくりニットタイは、日本では春夏向けのイメージが強いですが、本来は1年中使えるアイテムであることも付け加えておきましょう。
■色柄の第1候補はネイビー無地。意外とブラック無地も使える!
では、どんな色柄を選べばいいでしょうか? 最初に買うなら無地がおすすめです。特にネイビーは超万能。スーツやシャツが柄モノの場合でも難なくすっきりまとめられます。あと、1本あると意外と重宝するのがブラックの無地。ネイビーとはひと味違うモダンな雰囲気を演出してくれます。汎用性も高く、特にグレースーツによく合います。
近頃はカラバリも多彩ですが、ニットタイは淡い色よりもVゾーンを引き締めるダークカラーのほうが個人的には使いやすい印象です。ビギナーならネイビーと黒を揃え、その後色柄のバリエーションを増やしていくといいでしょう。
合わせやすくてトライもしやすいアイテムなのに、洒落感や鮮度アップの効果は想像以上。ネクタイのワードローブになかったら、ざっくりニットタイをぜひ1本取り入れてみてください。
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