【アウディ Q2試乗】小さいけれど高級感満点。ドイツ車らしい走りも好印象

クルマの基礎となるホイールベースは、A3のそれをやや短縮した2590mm。車体寸法は、全長4200×全幅1795×全高1530mmで、全高こそA3より80mm高くなっていますが、一方、全長は125mmも短い! ホントにコンパクトなサイズなんですね。国産車でいえば、マツダ「CX-3」と似たような大きさです。

アウディでは、A3をはさんで、下にQ2、上に「Q3」がラインナップされます。Q2とQ3のサイズ差があまりにも小さく感じられますが、Q3は先代A3をベースにしたモデルなので、早晩、モデルチェンジされて、やや大きくなるのでしょう。

それにしても、新設されたQ2、従来からのQ3、先日刷新された「Q5」、旗艦SUVの「Q7」、そして、市場投入が噂される大型モデル「Q9」と、アウディSUVラインナップの充実ぶりには目をみはります。ドル箱カテゴリーたるSUV市場での取りこぼしを「なんとしても防ぐ!」という気合いが感じられますね。

日本に導入されるQ2は、1リッター直列3気筒ターボ(116馬力/20.4kg-m)を積む「1.0 TFSI」(299万円)と「1.0 TFSI スポーツ」(364万円)、1.4リッター直列4気筒ターボ(150馬力/25.5kg-m)の「1.4 TFSI シリンダー オン デマンド スポーツ」(405万円)の3種類。トランスミッションは、いずれも7速AT。駆動方式はFF(前輪駆動)のみで、4WDは用意されません。

今回試乗できたのは、最上級の「1.4 TFSI シリンダー オン デマンド スポーツ」。正確には、「1st エディション」と呼ばれる、日本への輸入開始を記念した特別仕様車で、Sラインパッケージ(19万円)などで、スポーティなルックスに仕上がっています。例えば、スポーツバンパー、18インチのアルミホイールがおごられ、ドアを開ければ、Sラインのロゴがうれしいクロスとレザーのコンビネーションシートや、ステンレススチールフットペダルなどが待っています。

試乗車はこのほかに、オプションのデイトナグレー(6万円)にペイントされ、オートマチックテールゲート(7万円)、バーチャルコクピット(5万円)、セーフティパッケージ(13万円)、ナビゲーションパッケージ(35万円)を装着し、車両総額は490万円。諸経費を入れたら500万円の声を聞く仕様で「型破るプライス……」と、小市民ドライバー(←ワタシです)はつぶやくのでした。

念のため「A3 スポーツバック 1.4 TFSI」の価格をチェックすると、上級版の「スポーツ」が329万円。装着するオプションの種類にもよりますが、同じシャーシにSUVボディを載せれば、ザッと100万円高で販売できるわけで、昨今の自動車メーカーが、クロスオーバー/SUVモデルに力を入れる理由がよく分かります。

そんな皮肉な視点をとおしても、ブランニューのQ2は、なかなか魅力的なスタイルです。絶対的にコンパクトなので、デザイン要素がギュッと詰まった凝縮感が強い。“ブレード”と呼ばれる、Cピラーに貼られたプレートが目を引きますが、むしろ窓枠下端から下の一帯、ショルダー部分が、あたかもヘラでへずったように平らになっているのが、デザイン上の隠れたハイライト。シャープなエッジが、高級感を醸します。

ドアを開ければ、黒とシルバーのクールな室内。メーターナセルの中が全面液晶になった“アウディ バーチャルコクピット”は、コレなしのQ2がイメージできないほど“マスト”の装備です。ナビ画面なども表示できて、便利至極。5万円のオプションにする必要があるんでしょうか?

試乗車のSラインパッケージには、スポーツサスペンションも含まれます。乗り心地は、総じて硬め。不快な突き上げは、上手に角が取られていますが、もうちょっと気楽に乗りたい向きは、ノーマルの17インチ仕様でもいいんじゃないでしょうか?

とはいえ、ドイツ車好きの人なら「コレ、コレ」と納得するフィールでもあって、実際、高速道路に乗ったとたん、安定性の高さと相まって、小柄なボディを感じさせない、しっかりした走りを見せます。「このスタビリティがドイツ車だね!」と、いかにも月並みなフレーズですが、感心させられます。

アウディジャパンとしては、3気筒の廉価グレードをして「若者向け」と定義しているようですが、では、1.4リッターの4気筒モデルは、誰が乗ったらピタリとはまるか?

個人的な想像では、大きな高級車を持てあまし気味の方々にいいのではないでしょうか? 中堅SUVのように極端ではないけれど、高めの着座位置ゆえ見晴らしがよく、その上、小柄なので運転が楽。快適、安全装備とも充実していて、トレンドに乗っている感もある。何より、小さくても高級感があるのがいいじゃないですか。

Q2のステアリングホイールを握りながら「コレは、21世紀の『ヴァンプラ』ですな」と、ひとりごちていました。そう考えれば、ひと声500万円のプライスも、むしろ加点要素…かもしれません。

<SPECIFICATIONS>
☆1.4 TFSI シリンダー オン デマンド スポーツ
ボディサイズ:L4205×W1795×H1520mm
車重:1340kg
駆動方式:FF
エンジン:1394cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:7AT
最高出力:150馬力/5000〜6000回転
最大トルク:25.5kg-m/1500〜3500回転
価格:405万円

(文&写真/ダン・アオキ)


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