フェラーリで54年ぶりにソフトトップを採用した「ローマスパイダー」は、風に巻かれてのオープンドライブとは無縁?

■ソフトトップ格納時も流麗なボディ

▲デザインチームがめざしたのは、都市を離れて、優雅で開放的なオープンエアドライブを楽しめるモデル

実車を見て思う最大の良さは、なんといってもスタイルだ。

流麗という形容が似合うローマのボディに、クローズ時もコンパクトなソフトトップはよく似合う。

▲フロントからリアエンドにいたるまで流麗さを強調するようなボディ側面のライン

▲リアはブラックアウトした部分でクーペとイメージを共有

ファブリックやステッチなどのオプションが多数で、ソフトトップのカスタマイゼーションも可能、とフェラーリ・ジャパンでは説明するが、ただし、個人的にはスパイダーボディなら黒がいちばん。

なぜかというと、スパイダーといって、車高を低くしたオープンのスポーツカーは、そもそも幌なしで乗るのが正統的なスタイル。ゆえに幌をかけても、存在を際立たせては野暮となってしまう。

▲Z字型を途中形成しながら13.5秒で格納されるソフトトップ

英国の紳士傘が元来、黒というのも、おなじ理由。雨の多い英国にあっても英国人はあまり傘を差さないし、差しても目立たない黒を選んできた。歌舞伎でいえば黒子みたいなもの。

ローマスパイダーの場合、リアのシートに組み込まれた特許取得の新開発のウインドディフレクターをそなえているので、オープン走行時も風の巻き込みが少ないよう考慮されているそうだ。

▲ソフトトップは通常2色の糸で織られ独特の色合いをもつ

くどいようだけれど、風に巻かれてのオープンドライブだって、このすばらしいスポーツカーのドライブスタイルにはよく似合うと思うのだけれど、快適性の追求は避けて通れないのだろう。

「私たちは、オープンカーを愛する人、そして初めてオープンカーを試してみたいと思うお客様のために、特別なクルマを作りました」

フェラーリ・ジャパン代表取締役社長のフェデリコ・パストレッリ氏は、発表会会場で、上記のように述べている。やっぱり。でも、まあ、それで良しとしよう。

▲日本での発表会におけるフェラーリ・ジャパンのフェデリコ・パストレッリ代表取締役社長

 

■最高出力760Nmの最大トルクを持つ3855ccV8ターボエンジン搭載

シャシーは、従来のクーペと同様、総アルミニウム製。フロントに456kW(イタリア式表記だと620CV)の最高出力と760Nmもの最大トルクを持つ3855ccV8ターボエンジン搭載の後輪駆動だ。

ただし、幌を格納してもリアセクションの「エレガンスが損なわれないよう」(フェラーリ・ジャパン)造形に注意が払われている。

同時に(スタイルが最優先された昔と違い)ハンドリングがクーペと同等になるようにと、ボディシェルとシャシーのねじり剛性とビーム剛性はしっかり確保されたという。

▲クーペ同様に採用されたデュアルコクピットコンセプト

▲ブラックもいいし、幌を開けたときぱっと目立つような明るい色を内装色に選ぶのもよさそう

加えて、Aピラーおよびウインドスクリーン周囲も(当然)変更されている。ただしすべてを総合しての重量増はクーペに対して84kgにとどまったとフェラーリでは胸を張る(ように記述している)。

ソフトトップは、現行モデルの格納式ハードトップと同等の快適性が確保されていると謳われる。耐候性や静粛性のため5層で、リアはガラスがはめこまれている。

風を受けて幌がふくらむバルーン現象にも特別の注意を払ったと、フェラーリではプレスリリースに記している。

▲ローマ・スパイダーの日本での発表会場は「キラナガーデン豊洲」

▲発表会場に飾られた「La Nuova Dolce Vita」なるコンセプトに合わせた写真パネル

【Specifications】
Ferrari Roma Spider
全長×全幅×全高:4656x1974x1306mm
ホイールベース:2629mm
車重:1476kg
エンジン:3855cc V型8気筒ターボ
駆動方式:後輪駆動
最高出力:456kW@5750〜7500rpm
最大トルク:760Nm@3000〜5750rpm
変速機:8段ツインクラッチ
価格:3280万円

>> フェラーリ・ジャパン「ローマスパイダー」

<文/小川フミオ、写真提供/フェラーリ・ジャパン>

オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中

 

 

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