昨年発売され、久しぶりの本格的なスペックを持ったオフロードマシンとモタードモデルとして注目を集めたスズキの「DR-Z4S」と「DR-Z4SM」。119万9000円という価格ながら、完成度の高さもあって発売直後から多くの支持を集め、年間計画を大きく上回る販売台数を記録しています。
登場時にはオフロードコースとサーキットで試乗しましたが、今回改めて公道や林道に持ち込んで乗り回すことができたので、「S」と「SM」の乗り味や用途の違いも含めてインプレッションをお届けします。
増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。
■かつての名車をベースに多くの進化を遂げている
新型「DR-Z4S」と「DR-Z4SM」のベースとなっているのは、2000年発売の「DR-Z400S」と2004年に登場した「DR-Z400SM」です。エンデューロレーサーである「DR-Z400」と同時に開発され、水冷単気筒のエンジンは40PSを発揮。足回りもレーサー顔負けの本格スペックで、多くのオフロード&モタードライダーに支持されました。ただ、厳しくなる排出ガス規制に対応が難しかったため、2009年モデル(発売は2008年)をもって生産は終了してしまいます。
▲2004年式「DR-Z400SM」
400ccの本格的な走行性能を持ったモデルは、ほかに選択肢があまりなかったこともあり、復活を待望する声は根強くありました。新型の復活はこうした声に応えたものですが、過去のモデルを排出ガス規制に対応させただけでなく、フレームやエンジン、足回りに至るまでかなりの進化を遂げています。
▲「DR-Z4S」
▲「DR-Z4SM」
パワーユニットは水冷単気筒のDOHCですが、ベースとなったエンジンからは多くの部品が変更されています。代表的なのはシリンダーヘッド。

400ccある燃焼室で確実に混合気を燃やせるようにツインプラグ化されています。それ以外にも吸気側のバルブはチタン製で、排気側もナトリウム封入タイプに。かつてはキャブレターだった燃料供給はもちろんインジェクションに変更されています。

ユーロ5の排出ガス規制に対応するため、マフラーは大型化されていてエキゾーストパイプ内にもキャタライザーを追加。シートの左後方には筒状のキャニスターが装備されています。これらは厳しくなる環境規制に対応するための進化です。

わかりやすい部分ではヘッドライトがLEDのプロジェクタータイプとなっています。1眼タイプでハイ・ローの切り替えに対応しているほか、コーナーでバンクさせた際には、少し斜めを照らすようにリフレクターの配光を調整するなど、かなり手間がかかっています。外から見えない部分では、フレーム形状もシングルパイプからツインスパータイプに変更されています。

現代のマシンらしく電子制御も充実していて、スロットルも電子制御化されています。しかも、スロットルグリップからワイヤーを介して作動させるタイプ。こちらの方が、ライダーが操作する感覚に違和感が少ないため、同社では「HAYABUSA」などのハイパフォーマンスモデルに採用しているとか。オフロードで転倒して損傷した際のコストが少なくて済むというメリットもありそうです。走行モードの切り替えや、トラクションコントロール機構も採用されていて、後述しますがこちらの完成度もかなり高いものでした。
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