スズキのオフロード/モタードマシン「DR-Z4S/SM」は価格以上の価値がある!?

■「S」と「SM」では別物の足回り

サスペンションは前後ともにKYB製で、フロントフォークは倒立式。しかし、よく見るとオフロードモデルの「DR-Z4S」はアウターチューブがテーパー状に細くされています。これはオフロードで自然なハンドリングとするために、あえて剛性を落とす目的があります。オフロードモデルとモタードモデルで、ここまでハンドリングを作り分けているマシンはなかなかありません。

フロントホイールの軸(アクスル)部分は、モタードモデルの「DR-Z4SM」の方がオフセットが小さくなっていて、こちらは舗装路でよりクイックなハンドリングとするため。ホイール径を17インチに替えてハイグリップタイヤを履かせるだけだと、ハンドリングに違和感が残ることが少なくありませんが、このマシンはそこまで作り込んであることがわかります。

ホイールトラベル量はオフロード向けの「S」が前280mm、後296mm。モタードモデルの「SM」は前260mm、後277mmとされています。シート高はどちらも890mmですが、これは「S」にローシートが装備されているから。どちらもシートは高めですが、車体が細身なので足付き性は数値ほど悪くは感じませんでした。

フロントブレーキはキャリパーは片押し2ポッドで共通ですが、「SM」の方が大径のφ310mmのディスクを採用(「S」はφ270mm)。舗装路で求められる制動力を確保しています。

 

■気になる走りの違いとは!?

筆者は旧型の「DR-Z400S」も「DR-Z400SM」も、カスタムされたものも含めて何度か乗ったことがあります。では、新型がどのくらい進化しているのか? 「S」と「SM」にどんな違いがあるのか? 実際に両モデルを乗り比べてみました。

エンジンの最高出力は旧型は40PSでしたが、新型は38PS。厳しくなった排出ガス規制に対応していることを考えると、2PSの馬力ダウンは仕方ないと感じますが、実際に走らせてみるとパワーダウンはほぼ感じませんでした。最も穏やかな「C」モードで走行すると、かなり大人しくなったように感じるものの、最もレスポンスに優れた「A」モードでは旧型のキャブレターを変更したマシンを思い起こすほど。街乗りでは持て余すほどの俊敏さで、中間の「B」モードに変更したほどでした。

排気量が400ccあるとやはりパワフルで、特にアクセルを開けた際のダッシュ力は250ccクラスとは全く別物。街乗りではこれ以上のパワーは必要ないのでは? と感じるほどでした。5速ミッションなので、高速道路を巡航していると6速がほしいと思うことはありましたが、制限速度で走っている分には力不足は感じません。遠い林道まで足を伸ばすようなツーリングに出掛けるなら、この余裕は大きなメリットです。

ワインディングを走ると「SM」のハンドリングの良さが光ります。特によくあるタイトな峠道では、軽快なハンドリングとダッシュ力で大排気量のスポーツモデルを追いかけ回せるほど。リーンアウト気味で乗ることもできますが、やや体を内側に入れるオンロード的な乗り方が合っていて、狭い峠でこれだけ楽しいマシンはなかなかないでしょう。サーキットでも試乗しましたが、ノーマルでも十分に楽しめるほどの走行性能でした。

どちらのマシンでも未舗装の林道を走ってみましたが、オンロードタイヤの「SM」でもフラットな林道であれば十分に楽しめます。これはトラクションコントロールの「G」モードが良くできているためで、駆動輪がやや滑りながらも車体を前に進めてくれるので、ブロックのないタイヤでも楽しく走れました。

オフロード向けの「S」では「G」モードのスピン許容量がさらに増えるので、タイヤを滑らせながら加速していくオフロードならではの楽しみを手軽に味わえます。自分が上手くなったように感じるほど。ただ、滑りを完全に制御してくれるわけではないので注意しましょう。

サスペンション性能が高いので、大きめの石などが転がっているような荒れた道でもしっかりと路面を捉え続けてくれます。このサスペンション性能は、旧型からかなり向上している印象。走破性が高いので、どんどんハードなところに入って行きたくなりますが、車重が151kgあるので、降りて車体を押さなければならないシーンでは結構な重さを感じるので、その点は注意した方が良さそうです。

*  *  *

「S」と「SM」どちらを選ぶか? となると、舗装路しか走らないのであれば「SM」がおすすめなのは当然ですが、舗装路と未舗装路が9:1くらいの割合だとすると悩みどころです。「SM」でもある程度の林道は楽しめますが、よりハードなところに行きたくなってくると「S」が魅力的に感じるでしょう。舗装路でのハンドリングも結構異なるので、オフロード的な乗り方がしたいのなら「S」が、オンロード的な走り方がしたいなら「SM」を選ぶという手もあります。間違いないのは、どちらを選んだとしても価格以上の楽しさが得られるということ。120万円近い価格は高価ではありますが、それを上回る性能と面白さを堪能できるマシンです。

【SPEC】
DR-Z4S/DR-Z4SM
全長×全幅×全高:2170×885×1230mm/2195×885×10190mm
ホイールベース:1490mm/1465mm
シート高:890mm
車両重量:151kg/154kg
エンジン:398cc水冷単気筒DOHC
最高出力:38PS/8000rpm
最大トルク:37Nm/6500rpm
価格:119万9000円

>> スズキ「DR-Z4S」

>> スズキ「DR-Z4SM」

<取材・文/増谷茂樹>

 

【関連記事】

◆電動原付オフローダー「GE-N3」──エンジンの制約から解き放たれた、街もオフロードも走る次世代EVバイクの自由なスタイル
◆2スト250ccよりも鋭い加速!? ダカール・ラリーを制した電動バイクの実力とは
◆アドベンチャーの王者「GS」とはちょっと違う!? BMWのレトロな「R12G/S」に乗ってみた

トップページヘ

この記事のタイトルとURLをコピーする