【検証2016年の注目車】アウディ「A4」が輸入車No.1に輝いた理由とは?

A4 オールロード クワトロは、ステーションワゴンである「A4 アバント」の車高を高くし、オフロード走行などにも対応したクロスオーバーモデル。2010年に日本市場へ導入されて以来、初となるフルモデルチェンジを受け、先頃2世代目へと進化しました。

アウディ A4 オールロード クワトロ

その名のとおり、あらゆる道を走破することを視野に入れたモデルですが、A4 アバントがベースモデルのため、一般的なSUVほど腰高感がありません。SUVとはひと味異なる、上質さを感じさせる乗り味が特徴です。

A4 アバントとの大きな違いは、30mm高くなった最低地上高。全高はA4 アバント比で35mm高くなっていますが、これは、ルーフ部にキャリアステーが設けられているため。重心自体はさほど高くなっておらず、ドライバーズシートに乗り込んでも、腰高感はありません。SUVにありがちな腰高感に違和感を覚える人でも、この程度なら気にならないでしょう。

アウディ A4 オールロード クワトロ

一般的なSUVと比べた時の重心の低さは、走り出してからも感じられます。ストロークが伸びたサスペンションの恩恵か、足回りの印象は全体にしなやか。路面の凹凸や段差なども軽やかにいなしてくれるので、乗り心地はかなり上質です。

エンジンは、先代モデル比で25馬力アップの252馬力を発揮する2リッターの直噴ターボ“TFSI”。最大トルクは同2.0kg-mアップの37.7kg-mで、それを1600~4500rpmという幅広い回転域で発揮してくれるので、大きめの車体でも滑らかに加速していきます。

アウディ A4 オールロード クワトロ

7速のツインクラッチ式トランスミッション“Sトロニック”も良い仕事をしており、“MTのようなダイレクト感”を売りにしているものの、ギヤのつながりは非常にスムーズで変速ショックも感じません。これが、A4 オールロード クワトロの上品な乗り味にひと役買うとともに、先代モデルより9%向上した燃費にも貢献しているようです。

アウディ A4 オールロード クワトロ

走行モードを切り替えられる自慢の“アウディドライブセレクト”も、もちろん搭載されています。最も穏やかな「エフィシェンシー」から「コンフォート」に変更すると、同じようにアクセルを踏み込んでも、予想以上に車体がグッと前に押し出されるようになります。これくらい明確に乗り味が変わると、気分に合わせてモードを切り替えるのが楽しくなりますね。

アウディ A4 オールロード クワトロ

そして「ダイナミック」に切り替えると、さらに加速は鋭くなります。シフトパターンもしっかり上まで回すようなセッティングなので、アクセルを踏んで加速させるのが爽快な気分です。足回りも硬くなり、ドイツ車らしいガッシリと荷重を受け止める剛性感が顔を出します。これだけ剛性のある足回りなのに、「コンフォート」の時はよくあれほどしなやかな味付けを演出していたな、と感心してしまうほどでした。

さらに、走行モードを「オフロード」にすると、駆動方式も常時4WDに切り替わります。A4 オールロード クワトロでは、通常はFFで走行し、必要な時だけ4WDに切り替わるという具合に、4WD機構“クワトロ”がさらに進化しています。駆動力の切り替えは、車体に搭載されたセンサーが路面状況を先読みして自動で判断。しかも、前輪駆動時にはセンターデフとリアデフに内蔵されたふたつの“デカップリングクラッチ”が後輪への接続を完全に切り離すため、抵抗による燃費悪化を最小限に抑えてくれるのです。

アウディ A4 オールロード クワトロ

今回、A4 オールロード クワトロをドライブしたのは、ちょうど雨上がりの夜。路面は濡れていたので、走行中に4輪駆動に切り替わる場面も多々あったと思われますが、それを感じさせることは皆無。常時4WDになっても、舗装路でドライブしている限り、ハンドリングの軽快さなどに大きな影響はありませんでした。

A4 オールロード クワトロでもうひとつ触れておかなくてはならないのが、先進の安全装備が充実していること。先行車に追従して自動で加速・減速・停止を行う“アダプティブクルーズコントロール”には“トラフィックジャムアシスト機能”が搭載されており、渋滞時は停止に加え、再スタートも自動で行ってくれます。走行レーンを認識し、車線内での走行を維持するために穏やかにステアリングを自動修正してくれる“Audiアクティブレーンアシスト”や、歩行者などを認識して自動でブレーキをかける“Audiプレセンスシティ”も標準装備されます。

さらに試乗車には、オプションの“セーフティパッケージ”が装備されており、後方から接近するクルマや自転車があると、ドアミラーの警告灯で知らせる“Audiプレセンスリア”や“Audiサイドアシスト”も搭載されていました。車線変更時など、死角になりやすい箇所にクルマがいることを教えてくれるので、かなり安心感が高いと感じました。

このほか先進の装備として外せないのは、オプションの“Audiバーチャルコックピット”でしょう。メーターパネルが12.3インチの液晶画面になっており、ナビや車両の情報などを表示してくれます。一度慣れてしまうと、センターコンソール部にあるカーナビ画面に目を向けるのはおっくうに感じられるほど、ありがたい装備です。

アウディ A4 オールロード クワトロ

アウディ A4 オールロード クワトロ

さらに、フロントウインドウに速度やレーンキープの状況などを表示するヘッドアップディスプレイも搭載されているので、ドライブ時の視線移動は最小限で済みます。この辺りも、地味ですが安全性を左右する秀逸な装備といえるでしょう。

あらゆる路面状況に対応できるだけでなく、上質な走行性能と先進の安全装備を満載したA4 オールロード クワトロは、例えば、ウインタースポーツに安心して出掛けられる1台を求める人にとって、まさに最良の選択肢のひとつ。A4セダン、ステーションワゴンのA4 アバントともども、高評価を得ている理由をその出来栄えに垣間見ることができました。

アウディ A4 オールロード クワトロ

<SPECIFICATIONS>
☆オールロード クワトロ
ボディサイズ:L4750×W1840×H1490mm
車重:1680kg
駆動方式:4WD
エンジン:1984cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:7AT
最高出力:252馬力/5000~6000回転
最大トルク:37.7kg-m/1600~4500回転
価格:658万円

(文/増谷茂樹 写真/&GP編集部)


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