■操作感はコンデジというより、ほとんどαシリーズ

αシリーズに近い大柄なボディは、携行性の面では不利ですが、操作性では利点にもなっています。グリップは深く、普段使っているα7R Vとほぼ同じ感覚でしっかり握れました。

ボタンやダイヤルの配置、メニュー構造も最近のαシリーズに近く、ソニーのカメラを使っている人なら手間取ることなく撮影を始められそうです。カスタマイズ可能なボタンもしっかりあり、α7R Vと併用していても、ほとんど違和感なく撮影できます。

ズームはシャッターボタン周辺のレバーだけでなく、レンズ側のズームリングでも操作可能。24mm、35mm、50mm、70mm、85mm、135mm、200mmといった一般的な焦点距離へ段階的に移動できるステップズームの設定もあり、パワーズームながら、スチール撮影でも自然なズーム操作が可能です。
■NP-FZ100を共用できる「αのサブ機」としての価値

RX10 Vは、多くのαシリーズと同じNP-FZ100バッテリーを使用しているので、すでにαを使っている人なら、手持ちの予備バッテリーをそのまま共用できます。
今回の試用では、3〜4時間のスナップ撮影でバッテリー残量は60%ほどだったので、街歩きで普通に使う分には、かなり余裕のある印象。
ただ、やはりガッツリ撮影したいときには予備バッテリーも用意したいもの。バッテリーひとつとっても、安価ではないので手持ちのバッテリーがそのまま流用できるのは助かります。
操作系やメニューにも違和感がなく、バッテリーも共通。そのため、個人的に良さそうだと思ったのは、RX10 Vをαシリーズのサブカメラとして併用する使い方です。
メインカメラと同等の画質を得るための予備機というより、メインのレンズ構成では対応しにくい焦点距離を補ったり、ちょっとしたスナップで気軽に持ち出せるカメラという立ち位置で、2台のカメラを使っていても違和感がないのが気に入りました。
■1型センサーの画質はどこまで期待できるのか
▲RX10 V 1/400、F5.6、ISO100、30mm(35mm換算)
作例写真では雲の微妙なグラデーションや、ビルの細かい部分までしっかりと描写されていて、RX10 Vの1.0型センサーは、期待していた以上の画質の良さで十分にきれいだと感じました。
レンズの描写もズーム全域で安定しており、WEB掲載や一般的なサイズで見る写真なら、大きな不満はありません。
ストロボを使い、F9・ISO100、ほぼ同じ画角とライティングでブツ撮りをしてみました。シャッタースピードはRX10 Vが1/640秒、α7RVが1/200秒です。
▲上段:RX10 V 1/640、F9、ISO100、88mm(35mm換算)、下段:α7RV 1/200、F9.0、ISO100、90mm
同じ絞り値での撮影ですが、RX10 Vの小さなセンサーは、フルサイズセンサーに比べて被写界深度を深く取りやすいため、商品全体にピントを合わせたいブツ撮りでは利点にもなります。さらにRX10 Vはフラッシュ同調速度が高速なので、環境光の影響を少なくできるというメリットもあります。
こうしてみると、RX10 Vの画質も見劣りしないクオリティ。条件次第ではWEB用の商品撮影など、仕事でも使えるポテンシャルを感じました。
■RX10 Vが向いている人、向いていない人

RX10 Vは、小さくて軽いコンパクトカメラを求めている人には、あまり向いていないと思います。また、スマートフォンからカメラへステップアップする際、フルサイズらしい大きなボケや、センサーサイズによる圧倒的な画質差を最優先する人にも、最適な選択とは言えないかもしれません。
逆に、旅行や取材でレンズ交換をせず幅広い被写体を撮りたい人、超望遠を日常的に気軽に持ち歩きたい人、そしてαシリーズのサブカメラとして撮影領域を広げたいという人には、ピッタリとハマるカメラだと感じました。
スマホのように一台で幅広い場面へ対応しながら、600mmの超望遠と、本格的なカメラらしい操作性を備えている。誤解を恐れずに言えば、そんな「スマホの上位互換」のような存在にも感じました。
次回はRX10 Vを実際に街へ持ち出し、24-600mmという広大なズーム域が撮影者の視点をどのように変えるのかを試してみます。
>> ソニー「RX10 V」
>> 趣味カメラの世界
<取材・文・写真/田中利幸 モデル/朱里(@punta_ma96)>
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