■小さくても、ファインダーと操作系は省かれていない

小型カメラには背面モニターだけで撮影するモデルもありますが、PENは約236万ドットの有機ELファインダーを搭載しています。覗いたときの表示も十分にきれいで、明るい屋外でも被写体を確認しやすいと感じました。
何より、ファインダーを覗いて撮る行為そのものが楽しい。周囲の情報がいったん遮られ、画面の中だけを見ることで、普段なら通り過ぎる光や色にも目が向きます。いつもの街並みが少しだけ特別に見えることも、スマートフォンではなくカメラを持ち歩く理由のひとつだと感じました。

上面にはモードダイヤルと前後のコントロールダイヤルがあり、背面にも主要なボタンが揃っています。小さなボディーですが、カメラを自分の意図通りに操って撮影を楽しむことができます。

個人的に気になったのは、AF枠を直接動かすジョイスティックがないことと、背面のボタンの小ささ。コンパクトなカメラなので割り切りは必要ですが、筆者の場合は背面のボタン類がやや小さく、誤操作が多くなりがちでした。コンパクトさとトレードオフなことは承知のうえですが、頻繁にボタンを操作しながら撮影するようなスタイルの場合は、実機で操作感を確認してみると安心かもしれません。
バッテリー持ちは良好でした。今回は約3時間でおよそ500回シャッターを切りましたが、撮影後もバッテリー表示は半分程度残っていました。連写や画像確認の頻度などによって変わりますが、普段の外出ならバッテリー1本でも十分に使えそうです。
■人物認識AFは、日常の撮影なら十分に頼れる
撮像素子は有効約2037万画素のLive MOSセンサー。121点オールクロス像面位相差AFと、人物や犬・猫を認識するAI被写体認識AFを搭載しています。
▲OM SYSTEM PEN+ M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II、1/400、F2.0、ISO64、34mm(35mm判換算)
今回は人物撮影を中心に使いましたが、顔や瞳をかなりしっかりと認識していました。動きながらラフに撮影しても、大きくピントが外れることもほとんどありませんでした。現代の最高性能機と比べてしまうと、どんな状況でもフォーカスを完全にカメラ任せにできるというほどではありませんが、日常の撮影では特に不満に感じることはない性能です。
最大5.5段の補正効果を持つボディー内5軸手ぶれ補正も備えています。暗い室内や夕方でも、手ぶれを抑えながら感度を下げやすいので、日常的に様々なシーンで使いやすいですね。
▲OM SYSTEM PEN+ M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II、1/200、F2.5、ISO1600、50mm(35mm判換算)
筆者はマイクロフォーサーズ初体験だったのですが、画質に関しては想像していたよりもかなり良く感じました。最新のフルサイズ機と比べると、高感度ではノイズが出やすく、ISO800くらいからやや気になるシーンはありました。ただ、SNSに掲載したりWEB上で鑑賞する分には、高ISOでも十分に使えると思います。
■Film Soft Toneは、日常の記録と相性がいい
PENには、写真の色や階調を変えられるカラープロファイルとモノクロプロファイルが用意されています。

カラープロファイルは「Film Rich Color」「Film Vivid」「Film Soft Tone」「Standard(Natural)」の4種類。プリセットを選ぶだけでなく、色味やトーンカーブなどを好みに合わせて調整し、設定を保存できます。
▲OM SYSTEM PEN+ M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III、1/640、F4.5、ISO125、50mm(35mm判換算)、Film Soft Tone
中でも気に入ったのがFilm Soft Toneです。ややコントラストを抑えた柔らかな仕上がりで、派手に見せるというより、そのときの光や空気を穏やかに残してくれます。日常の記憶や記録を撮るというPENの性格にもよく合っていると感じました。
モノクロプロファイルも4種類あり、カラーフィルター効果や粒状感などを調整できます。撮影後にRAW現像で仕上げる方法もありますが、ファインダーで完成に近い色を見ながら撮るのは、また別の面白さがあります。
▲OM SYSTEM PEN+ M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II、1/200、F2.5、ISO640、50mm(35mm判換算)、ヴィンテージII
一方、アートフィルターは効果がかなり強いものも多いので、個人的には普段使いはやや難しそうかなという印象です。PENで普段から使うなら、細かく自分の好みへ寄せられるカラープロファイルの方が自然に馴染みそうです。
■撮る予定がない日にも持ち出せるカメラ

OM SYSTEM PENは、画質やAF性能で大型のフルサイズ機とスペック競争をするようなカメラではありません。その代わり、ボディーとレンズを一緒に持ち歩ける小ささに、ファインダー、操作系、手ぶれ補正、防滴性能をまとめています。
高性能なカメラを持っていても、持ち出さなければ写真は撮れません。特に撮影する予定がない日でも、常にバッグへ入れておき、撮りたいなと思ったときに取り出せる。その意味で、PENのコンパクトさは単なるスペックではなく、写真を撮る機会そのものを増やすための性能だと思いました。
次回は17mm F1.8 IIと25mm F1.8 IIを使ってのポートレートを撮影です。作例を見ながら、大きくぼかすことだけではないマイクロフォーサーズで日常を撮る良さを考えてみます。
>> OMデジタルソリューションズ「OM SYSTEM PEN」
>> 趣味カメラの世界
<取材・文・写真/田中利幸 モデル/梅田桃代(@nyanmyun)>
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