▲塗装は、第一層がプライマー(機体金属や複合材に直接塗る下地塗装。腐食防止や塗装の密着性を上げます)、第二層がトップコート(色塗装)。通常は第三層としてクリアコートを施しますが今回はナシ
ジェットスター・ジャパンですが、新ブランドへの移行が発表されています。そのため、ロゴや新たな機体デザインが発表される将来の再塗装なども考慮し、ベースカラーとして白を採用したという背景もありますが、根本的な部分でも白塗装のメリットは盛りだくさん。
▲翼裏など、部品の発注時期の関係で従来カラーを彷彿させる部分も。こちらもちょっとした見所です
メリットとして挙げられるのはいくつかあります。
まず、色を塗り重ねず白に統一することで機体の重さを軽減=使用燃料を抑えて運航できること。また上空での太陽光による機体温度の上昇や劣化も軽減できます。
▲想像以上にホワイト塗装はメリットがいっぱい!
ほかにも、地上での整備でオイル漏れなどの発見しやすく、タッチアップ(部分補修塗装)時に色合わせが不要でできるなど整備時間の短縮につながります。よくよく考えてみると、ロゴやカラーは入っているものの、その多くが白ベースの機体が多いですよね。それらも、ビジュアルだけでなくメリットがあるからというわけなんですね。
加えて整備さんによると、ちょっとした凹みも影になるため非常に見つけやすく、さらに地上整備時も客室内の温度を抑えることができ作業がしやすいんだそう。
▲こちらは既存の機体のロゴ部分。当たり前ながら、白塗装と比較すると全く印象が違います
ー白塗装のメリットー
・白に統一することで機体の重さを軽減
・使用燃料の節約につながる
・太陽光によるダメージを抑える
・不具合が見つけやすく整備がしやすい
■外観だけじゃない! アップデートした客室仕様で快適さが向上
▲客室全景
▲テーブルやスマホ&タブレットスタンドを出したところ
今回の新造機は、機内設備の進化も魅力のひとつ。同型として4機目となる今回は、客室仕様を一部変更。利用者側のトピックスとしては、オーバーヘッドビン(頭上の荷物入れ)のサイズが広くなったこと。エアバスの最新客室仕様「Airspace」導入に合わせた“XL Bin”で、現行サイズに比べ約40%大型化。収納可能な手荷物個数が60%アップしています。
▲エアバス「Airspace」の最新客室を採用。 “XL Bin”で手荷物の収納力がアップしました
今まではスーツケースが横に3個程度だったのが、縦に4〜5個ほど入るように。「絶対に手荷物派」にはかなり朗報なのでは。国際線も飛ぶので、今までのように足元にぎゅうぎゅうに押し込むことも減りそうです。
▲機内持ち込みOKのスーツケースを入れてみたところ
さらに頭上の呼び出しボタンが横長で押しやすくなりました。しかも青く光り視認性が高いため、気づいてもらいやすいんです。
▲呼び出しボタンもアップデート
また、座席前のUSBポートはType-Aに加え、新たにType-Cをプラス。昨今のモバイルバッテリー問題を考慮した仕様で、2台同時接続が可能。これは、ガジェットを旅先に複数持参する人もありがたいのでは。
▲USB Type-Cを新たに追加
▲ほかにも、LEDアンビエントシステムによる機内照明を採用。搭乗時や“テイクオフ”、“ミール”に加え“リラックス”や“スリープ”、そして“ウェイクアップ”など6種類
▲操作パネル。こちらでライトを変更します。ラバトリーのタンク使用状況などもチェック可能
▲バリアフリー対応のトイレ。車椅子利用の搭乗者用に引き出し式のトランスファーシートを導入。タッチレスの水栓など使い勝手もいい
▲座席数は238席→232席と削減。減った分のスペースを活用し、後部ギャレーをハーフギャレーからフルギャレーに変更。「作業スペースの拡大で効率アップ=サービスがよりスムーズに」「乗務員と搭乗者の導線の重なりを防ぐ」などのメリットがあるとか
ー客室エリア進化部分ー
・手荷物収納エリアが拡大(XL Bin)
・USB Type-C搭載
・6種の機内照明で快適な旅をサポート
・バリアフリー対応トイレを導入
・フルギャレー化
■改良型のCFM社LEAP-1Aエンジンを搭載。整備士と乗客的視点、それぞれどんなメリットがある?
▲改良型のCFM社LEAP-1Aエンジンを搭載。サイドが開いた姿は格納庫ならではの光景です
JA29LRには、改良型のCFM社Leap 1A-32エンジンを搭載。こちらも大きなポイントです。「いつもは乗るだけで、エンジンまで気にしていなかった」ならば、ぜひとも注目を。
同エンジンは、エアバス A320neo ファミリー(A321neoやA321LRなど)に搭載される高バイパスターボファンエンジン。燃料の消費率やCO2排出量削減、重量軽減などさまざまな改善がされたモデルになります。エンジン部分の耐久性向上パッケージを組み込んでおり、高温・高負荷部品の耐久性を強化。耐久性と信頼性をより高めた設計がを採用したものです。
▲注目は、ファンブレード部分。従来はチタン合金で作られていますが、同モデルはカーボン(黒い部分)を使うことで、大幅な軽量化を実現
整備視点で注目したいのは、初期装備としてLEAP-1A RBS(Reverse Bleed System)が装備されていること。こちらはエンジン停止後に燃料噴射ノズルを自動冷却し、内部のカーボン蓄積を抑制するシステム。最終便や便間が3時間以上空く場合の整備をスマート化することに加え、ノズルの寿命延長に貢献します。オレンジのダクトが目印ですよ。
▲「LEAP-1A RBS(Reverse Bleed System)」が初期装備として搭載。なお、すでに運用中の機体も改修により対応済み
また、Multi Functional Runway Light(MFRL)を初搭載しています。タキシング(地上移動)に離着陸、そしてランウェイ・ターンオフと4つのライト機能を一体化。LED化で消費電力の節約になりエンジンを必要以上に回す必要がなくなり燃料消費の改善にもつながるんだとか。
▲初搭載のMulti Functional Runway Light(MFRL)で飛行機下の灯火周りがスッキリ。カバー付きで長持ちに。他にも緊急時の機体の位置情報を自動発信する非常用発信機(ELT-DT)や、離着陸時に滑走路の逸脱リスクをリアルタイムで監視するROPS Step 2+など、安全面も含めた進化が目白押し
▲ちなみにこちらは既存の機体における前脚灯火類。確かにむき出しですよね
私たち利用者側からみると、最新型のエンジンはフライト中の騒音問題を軽減していたり、振動抑制にも関係するなど、想像以上にフライト中の快適性に寄与しています。最新型のエンジンは整備面に加え、キャビン内の快適性がグッと上がるということを意識すれば、エンジン近くの席に座った時に「おっ、これが噂の!」となると思います。
ー新造機搭載の技術的進化のポイントー
・改良型エンジンで、燃料の消費率やCO2排出量削減、重量軽減
・LEAP-1A RBSで整備の負担低減と効率化。機材や部品の寿命延長にも貢献
・Multi Functional Runway Lightを初搭載
・非常用発信機(ELT-DT)などで緊急時対策をさらに強化

なお、新たな機体デザインや新ロゴ発表は、2027年1月ごろを予定。新ブランド&ロゴ決定後に、順次新デザインに変更されるとのこと。こちらも期待して待ちましょう。
>> ジェットスター・ジャパン
<取材・文/相川真由美>
相川真由美|エディター・ライター/防災士。ライフスタイル系雑誌の編集アシスタントを経て、IT系週刊誌・月刊誌で約10年以上編集者として刊行にたずさわる。現在は、フリーの編集記者として国内外のテーマパークやエンタメ、ならびに観光、航空関連の取材・インタビューを中心に執筆中。
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