4. いよいよ「蒸溜」。アルコール度数を一気に上げる
▲蒸溜釜が並ぶ姿は圧巻。まるで管楽器のような美しさも感じられる
発酵樽から“もろみ”を取り出し、いよいよ作業は「蒸溜」へ。“もろみ”を釜(初溜釜)に入れて直接火を当て直火で「蒸溜」を行います。この作業でアルコール度数は20%程度まで上昇。その後さらに再溜釜に入れ、間接的に熱することで最終的にはアルコール度数は約70%まで高くなります。そうして「原酒」が作られるわけですが、この「原酒」をどう混ぜるかでシングルモルトウイスキーやブレンデッドウイスキーなどタイプの違うウイスキーを作り出せるそうです。これだけ大きさが違う釜が揃う蒸溜所は世界的に見ても珍しいらしく、それだけサントリーではさまざまな原酒を作り分けられるということ。
▲写真中央の釜の窓を見ると“もろみ”が沸騰しているのがわかる。ちなみに素材は銅
この「蒸溜」という作業、単に火を当てていれば良いわけでは当然ありません。実際につくり手たちが蒸溜釜の窓から中の様子を確認し、泡の弾け方など微妙な変化を見極めながら火加減の調整を行っています。つまり、「仕込み」も「発酵」も「蒸溜」も、技術が進歩した今でも、きちんと職人たちの手をかけることで「白州」の味が保たれているというわけです。
5. 最後は「貯蔵」。“熟成”が味の決め手に
▲貯蔵庫はおよそ2万丁もの樽が収蔵可能
最後の過程、「貯蔵」。「サントリー白州蒸溜所」では最大で2万ほどの樽が貯蔵できるそうですが、意外なことに温度管理はしていないそう。と、言うのも樽材自体が自然由来の素材を使用していることもあり、森の気温に合わせて熟成させる方法を取っているからなのだとか。熟成させる場所によって原酒の個性が変わるため、この「サントリー白州蒸溜所」の気温・環境がそのまま「白州」としての個性に直結するわけです。1樽1樽ロットで管理されていて、何年もかけて熟成させていくのですが、中には30年以上も寝かせているものも。
▲左は右よりも長期熟成したもの。量や色が全く変わってくる
熟成していくと年平均2~3%蒸発していくそうですが、減った分を追加していくワインと違い、ウイスキーは熟成のピークを迎えるまでそのままだそう。また、同じ個性の原酒を作ろうとしてもほぼ不可能というのがウイスキー作りの難しさでもあり、面白さでもあるようです。そんななか、色の濃さや風味など異なる原酒を使って一定の品質の製品を作り上げるのが、最終的な風味を司るブレンダーの腕の見せ所。ブレンダーは味覚や嗅覚の感覚を常に研いでいないといけないため、体調管理や食事制限など日頃から自身のコンディションには非常に気を付けていると言います。ブレンダーは一度に数百もの原酒をチェックすることも。
▲「白州」の貯蔵樽には主にホワイトオークが用いられる
▲「白州」にメインで使うのは左2つ。「バーレル(左)」は180リットル、「ホッグスヘッド(中左)」は230リットル
■「白州」は職人たちの努力の結晶だった

さまざまな工程を経て生まれる「白州」。そこには職人たちが日々情熱を注ぎ込み、たゆまぬ努力を続けている結果、我々のもとへと届けられているのがよくわかります。いつも楽しんでいるロックや水割り、ハイボールが一体どのようにして作られているのか。それを知ったうえで飲んでみると、きっといつもとは違った味わいが広がるはずです。
>> サントリー「白州」
<取材・文/手柴太一(GoodsPress Web編集部) 撮影/坂下丈洋>
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