◾️始まりは、1食を「全力の遊び」に振り切った緊急事態宣言
Q:自家製を本格的に始められたきっかけは?
「小さい時から梅干しを漬けたりとか、色々なものを作ったりはしていたんです。でも、大きなきっかけはコロナ禍の緊急事態宣言ですね。24時間ずっと家族3人で家にいて、毎日3食のご飯を作らなきゃいけない。最初は大変だなと思ったんですけど、ふと『家族3人でこんなに濃密に過ごす時期って、もしかしたら人生で今しかないのかも』と気づいたんです。どうせなら作るなら、面白くした方が楽しいじゃないですか(笑)」
ーー 具体的にどんなことから始めたのでしょうか?
「普段なら買ってくるウィンナーを手作りしてみたり、うどんを粉から打ってみたり。あと、家にあるプラレールの上にお皿を載せて、リビングで回転寿司にしてみたり(笑)。とにかく『1食は遊びにする』と振り切って遊んでいたんです。そうしたら、面白さに火がついちゃって。
▲『自家製はエンタメだ。』より:うどんのページ。前編イラストで楽しく作っている様子がそのまま伝わり、実践しやすい内容だ
一つやってみると『あれ? 意外と簡単だったな』と自分の中のハードルがグッと下がったんです。そうなると、街で見かけるもの、スーパーにあるものが『これ、自分でも作れるんじゃないかな』と考える癖がついちゃって。商品の裏の原材料表示を見つめたり、レストランに行ってメニューに自家製と書いてあったら、家でも再現できるかなと逆算するようになりました。作れば作るほど、ハードルが下がっていく感覚が楽しかったんです」
◾️作り手へのリスペクトと感動
▲福岡の大人気ビストロ『Yorgo』の川瀬シェフに指南を受ける浜竹さん
ーー 確かに、私たちは「プロにしかできない」「道具が必要だ」「失敗したらどうしよう」と、始める前に気合が入りすぎて諦めがちです。それを「エンタメ」と定義する理由はどこにあるのでしょうか?
「本当にただ楽しいから。それだけなんです。今でも作るのが好きだし、ワクワクします。それに、一度自分で作ってみると、世界の見え方が変わるんですよ。例えば、普段は何気なく買ってるマヨネーズやソース。一度でもイチから自分で作ったことがあると、『こんなに大変な工程を、食品会社の人たちは毎日大量に、しかもこんなに美味しく作ってくれているのか』と、職人さんやメーカーの凄さに感動するようになります。作ってくれている人に対するリスペクトと感謝が湧いてくる。これも自家製が生む、面白い副産物ですよね」
▲調味料もあれこれ作ってみた浜竹さん。まずはソースから作ってピザで味わうなど、ソース作りの楽しさを試してみよう
ーー「タイパ」の逆を行く楽しさってなんでしょう?
「実は私、タイパについて考えたこと自体がそもそもないんです。これは時間がかかるからやらないっていう選択肢がない。もちろん、バリバリ働いていて時間がない人が効率を重視する気持ちは分かります。でも、私は『面白かったら、別にどれだけ時間がかかってもいいじゃん』と思うタイプ。自分が普段口にしているものが、どんな風に作られているのか、その過程を知ることが、私にとってのエンタメなんです」
◾️SNSで公開した「かまぼこの失敗」
ーー 自家製にこだわる中で、これだけは譲れない部分は?
「やっぱり美味しいことですね! 面白がるのが大前提ですけど、出来上がって美味しくなかったら嬉しくないし、楽しくない(笑)。材料費だってかかってるし、光熱費だって使ってますからね。自家製って普通に買うより材料費が高くつくことも多いんです。張り切って材料を買っても、使うのはほんの少しだったり、慣れていないと余っってしまうこともよくあります」
▲こんにゃく作りに励む浜竹さん
ーー これまでで大変だった失敗談は?
「たくあんですね。9月の終わり頃って、まだ気温が高いじゃないですか。それなのに大根を外に干しちゃったので、みるみるうちに腐っていっちゃって。自家製って、今うまく発酵しているのか、それともただ腐っているのか、慣れるまでは見極めがすごく難しい。
▲たくあん作りの過程の大根干し。左が成功例、右が失敗例
▲『自家製はエンタメだ。』より:たくあんのページ
あと、練り物をInstagramのストーリーズに動画でアップしたんです。そうすると、画面の向こうにいる監修のシェフが『もっとしっかり練れ!』『味を濃くしろ!』と映像を見ただけでダメ出ししてくれる。見てるだけで分かるなんて、プロは本当に凄いなと感動しました。練り物は本当に難しいですよね」
































