大人が本気で没入する! 脳と暮らしが覚醒する「自家製」の楽しみ方。実践レシピも公開

◾️食材が語りかけてくる。「スーパーに行くのが楽しくて仕方ない」

ーー 今はどれくらいの頻度で自家製していますか?

「今はもう生活の流れに溶け込んでいますね。基本は『季節のもの』が中心です。どこかへ出かけた時に、たまたま安くて新鮮なそら豆を見つけたら『あ、これで豆板醤を作ろう』って買って帰る。年中切らさないのは、白だしや粒マスタードでなくなったら自然と作ります。あとはスーパーで塊肉が安売りされていたら『よし、ベーコンにしよう』と、食材に出会った瞬間に決める感じです」

 

ーー 塊肉を見て「ベーコンにしよう」となるのはさすがです。著書の中では「ソーセージ」も作られていましたね。

「塩漬けの羊腸を水で戻して使います。既製品のプリプリ感も美味しいけれど、手作りには手作りの美味しさがありますね」

 

▲2020年、コロナ禍で自家製を楽しむ浜竹さん

 

ーー 自家製を始めてから、ご自身の中で一番変わったと思うことは?

「とにかく、スーパーに行くのがめちゃくちゃ楽しくなりました。デパ地下に行っても調理されたお惣菜を見るんじゃなくて、『これから何にでも加工できる原材料(野菜や魚)』をと見る目が変わるんです。今、何が旬で何が安いか、素材そのものにワクワクする。あと、街の個人商店の店主さんたちに話を聞くのがすごく楽しくなりました。お魚屋さんに行って『この練り物ってどうやって作ってるんですか?』と興味津々で聞くと、皆さんすごく喜んで教えてくれるんです。自分の技術や商品に自信があるからこそ、気軽に裏技を教えてくれるのだと思います」

 

◾️自家製にハマる、一瞬でできる「ラー油」

ーー 年を重ねると趣味がなくて家でゴロゴロしがちな方も多いですが、自家製を勧めるならどこからスタートすべきでしょうか?

「新しい遊びとして、ぜひ飛び込んできてほしいですね。特に大人の男性は、こだわり始めると道具から揃えたりして、すぐ没入しちゃうじゃないですか。歳を重ねて急にそば打ちを始める人もいますけど、そばは正直、難易度が高すぎて挫折しやすい(笑)。だから、“仕込みが一瞬ですぐ食べられて美味いもの”から始めるのがコツです」

 

ーー最初の一歩におすすめの「すぐできるもの」は?

「ラー油と粒マスタードですね。これは拍子抜けするほど簡単なのに、市販のものとはまた違った美味しいものが出来上がります」

例えばラー油なら、ごま油を熱して粉唐辛子などと合わせるだけ。まずはごま油に長ネギの青い部分や生姜の皮を入れて熱し、油の臭みを取る。あらかじめ合わせておいた白ごま(すりつぶし)と粉唐辛子に先ほどのごま油をジュワッと注ぐ。粉唐辛子と一緒にレモングラスや陳皮などを入れると、自分の好きな香りがついたオリジナルラー油が完成します。

 

▲左がラー油の材料、右が完成形

「これが本当に美味しくて! 子どもがいる家庭なら、麻婆豆腐をあえて辛くなく作っておいて、大人は後から自家製ラー油をドバッとかけて食べる。インスタントラーメンに一回しするだけで本格的になりますよ」

 

◾️週末をドラマチックにする「ロースハム」のススメ

▲『自家製はエンタメだ。』より:ロースハムのページ

ーー 浜竹さんの著書は、すべてのレシピが「見開き1ページ」で完結するイラストになっていて、料理中にページをめくらなくていい工夫など、まさに読むエンタメでもあります。最後に、読者が今週末にでも挑戦したくなる、とっておきの一品を教えてください。

「イチオシは『ロースハム』です。アウトドア誌とかを見ると、みんなよく、ベーコンを作っていますよね。でも、ロースハムはとても簡単で美味しいのにあまり見ない。しかも、朝ご飯にもアウトドアにも最高に使えますし」

 

▲ロースハムを作る様子。これは美味しそう!

「例えば、水曜日の夜にソミュール液(漬け込み液)を作って、塊肉を仕込んで冷蔵庫に入れておく。そのまま木曜・金曜と放っておいて、土曜日の朝に塩抜きをする。土曜の午後からじっくり火を入れれば、その日の夕飯には出来立てのロースハムをおつまみにしてビールが飲めます。昼はそのハムを薄切りにして、サンドイッチにする。週末がドラマチックになると思いませんか? ちなみに、先ほど話した自家製の粒マスタードをハムに添えたら完璧です(笑)」

 

▲書き下ろしてくれた「ロースハム」の楽しみ方。アウトドアにも持参してマイレシピを自慢したい

 

ーー 水曜日の夜から、すでに週末のエンタメが始まっているわけですね。

「冷蔵庫の中で肉が育っていくのを想像しながら平日を過ごす。これこそが、大人の遊びだと思います。一回やってみれば、びっくりするくらい簡単で、笑っちゃうほど美味しい。ぜひ、今週末のエンタメとして、キッチンを実験室にしてみてください」

完璧な完成品がワンクリックで手に入る時代に、あえて「失敗の可能性」と「待ち時間」を愛おしむ。浜竹さんの語る自家製の世界は、私たちが忘れかけていたモノが出来上がっていく喜びに満ちていました。「自家製」のある食卓は、ただの食事の場から楽しさと美味しさに満ちた場となるでしょう。

 

<取材・文/編集部>

 

>>【特集】食はエンターテインメントだ!

 

書籍『自家製はエンタメだ。』(サンクチュアリ出版)

 

 

 

⚫︎著者プロフィール

浜竹睦子|福岡県生まれ、岡山県在住。美術館勤務を経て、フリーランスのイラストレーターに。食と酒、サウナをこよなく愛する。全国各地の食べ歩きや、「#むつこの自主学習」と称した食の現場を取材したレポートなどをSNSで公開。著書に『偏愛サウナめぐり』(誠文堂新光社)、『自家製はエンタメだ。』(サンクチュアリ出版)、イラスト担当に『食の選び方大全』(サンクチュアリ出版)、『サウナ語辞典』(誠文堂新光社)がある。
>>WEBサイト Instagram:@hamatakemutsuko X:@HamatakeMutsuko

 

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