60歳以上じゃないと働けない!? 札幌の人気スープカレー店『おくしばぁちゃん』でいただく至極の一杯

■創業者の願いを込めた『おくしばぁちゃん』のはじまり

創業者の奥芝さんが「体調を崩したおばあちゃんが元気になったら、一緒に働きたい」。 そんな願いからオープンしたのが『おくしばぁちゃん』です。

現在、従業員の多くは60歳以上で、10年以上の歴史の中にはオープン当初から変わらず働き続けるおばあちゃんが3名。取材に伺った日も、店長の桑原さんの他に、60代から80代までのスタッフ4名が、明るい声でお客さんを迎えていました。

 

▲出迎えてくれた60歳以上のスタッフの皆さん。左上かられいさん、けいさん、左下:ちえさん、すーさん

「おばあちゃんたちが生き生きと働き、町を元気に!」というコンセプトのまま、暖かな雰囲気に包まれたこのお店。奥芝さんの「おばあちゃんと一緒に働く」という願いは叶いませんでしたが、高齢の方が安心して働き続けられる場所を作ったことで、その思いは実を結びました。

 

■『おくしばぁちゃん』のこだわり料理はスープカレーだけではない

『おくしばぁちゃん』のこだわり料理の一つが、他のスープカレー店にはない“天ぷら”。スープカレー店では珍しい組み合わせですが、ここでは多くのお客さんがスープカレーと一緒に天ぷらを注文します。

その天ぷらを揚げているのが、スタッフのれいさん。業務用フライヤーは使わず、鍋の油の温度を確かめながら、一つひとつ丁寧に揚げていきます。

 

▲れいさん(80代)。油の温度、出来上がりのタイミングを見極めながら天ぷらを揚げていく

油から上がった瞬間の音、立ちのぼる湯気……。カウンター席に座ると、その様子を間近で見ることもできます。揚げたての天ぷらは熱々で、衣は驚くほどサクサク。塩をつけなくても素材の甘みがしっかり感じられ、とてもおいしい。

注文はパネル式で、スープの種類や辛さ、ご飯の量、天ぷらの種類まで、自分好みに細かく選べるのも魅力。“自分だけの一杯”に、れいさんの天ぷらを添える楽しさが、この店ならではの体験になっています。

 

▲自分好みのスープカレーを注文できるタッチパネル。種類がたくさんあるので、どんなスープカレーにするか迷う

 

看板メニューはボリューム満点な「天ぷらスープカレー御膳」

お店の一番人気は、お店の看板メニューを一度に味わえる「天ぷらスープカレー御膳」。今回は、濃厚なえびだしのスープカレーに、ごぼう煮、3種の道産きのこ、そして大海老の天ぷらを組み合わせました。運ばれてきた瞬間、思わず声が出るほどのボリューム! スープカレーの器の中には、にんじん、かぶ、じゃがいも、大根、ネギなどの野菜がたっぷりと入っています。

 

▲ボリューム満点の「天ぷらスープカレー御膳」2,480円。ごはんは白米と玄米から選べる

えびだしの旨みとスパイスが重なったコク深いスープは、一口ごとにクセになる味わい。そこに、揚げたての天ぷらを合わせると、食感と香りが一気に広がり、箸が止まらなくなります。

さらに、オープン当初から働くスタッフ考案の「ネギ味噌」、北海道ならではのハスカップを使った「漬物」も添えられています。この二品だけでもごはんをおかわりしたくなるほどの旨さと存在感!

 

▲絶品のネギ味噌と北海道ならではのハスカップのお漬物はぜひ一度味わってほしい一品

魅力ある一皿一皿が重なりあった、この店舗ならではの一膳。オープン当時から通い続けるお客さんが多いのも納得ですね。

 

■『おくしばぁちゃん』を支えるスタッフの想い

ホール全体を見渡し、忙しい中でも常にお客様の様子に気を配るすーさんとちえさん。てきぱきと仕事をこなしていくその姿からは、丁寧な仕事ぶりが伝わってきます。

 

 

▲右:てきぱきと仕事をこなす、すーさん(70代)、左:まだ働き始めて1か月というちえさん(60代)

働くことで気を付けていることは? とスタッフのけいさんに伺うと、「健康です。風邪をひかないように、転ばないように気を付けています。そしてこれからもたくさんのお客様に来ていただけることが目標です」とのこと。さらにお店で働くことで、社会とつながり、お客様と会話ができることが楽しい、と話してくれました。

 

▲勤続年数6年のけいさんも80代!

生き生きと働くみなさんの姿を見ていると、こちらまで背筋が伸びるような気持になりました。

 

▲店内に飾ってあるスタッフの作品

高齢化社会、少子化問題……飲食店でも人材確保が困難な中、高齢者が安心して働ける環境づくりを10年以上前から取り組んできた奥芝洋介さんの想い。その想いが、お店の温かな雰囲気を作っていると感じました。

退店の際には、火打石で丁寧に見送ってくれるスタッフ達。思わず「ただいま!」と言いたくなるホスピタリティーあふれる接客は、訪れた人を笑顔にしてくれます。疲れた日には『おくしばぁちゃん』に足を運んで、おばあちゃんたちの元気をそっと分けてもらいに訪れてみてください。

 

奥芝商店『おくしばぁちゃん』
住所:北海道札幌市中央区宮の森1条10丁目7-20
TEL: 011-688-6454
営業時間:11:00 - 15:00(L.O.)
定休日:木曜
>>おくしばぁちゃんホームページ
>>Instagram

 

>> 【特集】食はエンタメだ!

<撮影・文/谷元 こと美>

 

谷元 こと美|北海道在住、2級フードアナリスト、俳優。趣味は新店舗の開拓。ごはん系、麵系、スイーツまでジャンルは問わず、「気になる!」と思ったら即突撃の行動派。演技の表現力をグルメレポートにも活かし、お店を取材します。

 

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